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東証の改革要請、取り組み開示済みプライムの40% 進展次第で株価下支えも

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REUTERS

Noriyuki Hirata

[東京 15日 ロイター] - 東京証券取引所は15日、プライム市場とスタンダード市場の上場企業に対して要請している資本コストと株価を意識した経営について、要請に基づいた取り組みを開示した企業の一覧表を公表した。プライム市場では40%の企業が開示済みとし、9%が検討中としていることが明らかになった。今後も毎月公表する方針で、取り組みが進展すれば株価の下支えになるとの見方が出ている。

東証の集計では、プライム市場の40%(660社)、スタンダード市場の11.5%(191社)が取り組みを開示し、検討中はプライム市場の9%(155社)、スタンダード市場の6.5%(109社)だった。

プライム市場の3月決算企業に限れば59%(673社)が開示(検討中を含む)し、昨年7月時点の31%からほぼ倍増した。東証は「開示企業数には一定の進捗が⾒られており、引き続き、検討・開示を⾏う企業数の増加に取り組む」としている。

開示企業の一覧は毎月更新する予定で、初回の今回は、2023年12月末時点のコーポレート・ガバナンス(CG)報告書の状況に基づいて集計した。「開示が順調に進んでいけば、日本株を支える良い材料になる」と三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストはみている。

リストの公表を通じて資本効率の改善が促される効果が時間をかけて織り込まれていき「日本株の伸びしろが広がる」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)との見方も聞かれた。

東証は、PBRが低く時価総額の大きい企業ほど開示が進展したと分析している。PBR1倍未満で時価総額1000億円以上のプライム上場企業は78%が開示(検討中を含む)に該当した。一方、PBRが高く、時価総額が小さい企業は相対的に開示が進んでいないと指摘した。

業種別では、平均PBRが低い業種の開示が進展し、銀行は94%が開示(検討中を含む)した。平均PBRの高い情報・通信、サービス、小売などは相対的に開示が進んでいないと指摘している。

<銘柄選別への思惑も>

個別銘柄レベルで、投資家による選別が進むとの見方もある。「要請から1年を経る4月以降は、PBRが1倍を割れていながら開示していないような企業に対しては、取り組みの意志と対応能力の点で投資家から厳しくみられるおそれがある」(井出氏)という。

時価総額上位では、トヨタ自動車やファーストリテイリング、ソフトバンクグループなどが開示なしの扱いとなった。東証の要請では、CG報告書で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」というキーワードとともに、開示している旨や閲覧方法を記載する様に求めており、キーワードがない場合、機械的に開示なしの扱いとなる。

トヨタ自動車は、「ステークホルダーと共に成長」する取り組みを進めているとし、東証が要請する「資本コストや株価を意識した経営」と「実質的には同じ内容と考えている」(同社)としている。ソフトバンクGは、東証の指定するキーワードとは厳密には一致していなくても、株価を意識した経営の実施状況などをホームページで開示していると説明している。

大企業の場合、開示の扱いでなかったとしても、そのことによるネガティブな株価反応は限られるとの見方は多い。大企業は多くのアナリストがカバーし、個別の取り組みの実態が市場で適切に把握されているためだという。

一方、中小型株は「日頃、十分に取り組みが理解されていない可能性があり、開示の有無が少なからず株価にも影響を及ぼすおそれがある」(井出氏)という。

(平田紀之 取材協力:白木真紀、アントン・ブリッジ、ブリジッド・ライリー 編集:石田仁志、宮崎亜巳)

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