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「エンジニアファースト」で会社が成長、社員の幸せを経営の軸に――エーエスエル社長・平出浩太郎氏

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エーエスエル社長・平出浩太郎氏

両祖父が経営者という環境で育ち、数々の過酷な現場をエンジニアとして経験してきたエーエスエルの平出浩太郎社長。2015年、当時在籍していた株式会社システム情報(現:株式会社SI&C)がエーエスエルを子会社化したことに伴い、赤字状態のエーエスエルへ出向し、わずか1カ月で黒字化を達成した。その功績が認められ、2年後の2017年、代表取締役社長に就任した。会社経営では「社員の幸福」こそ成長の源として、採用活動からオフィス環境まで、人材に関わることを最優先に取り組み、組織を牽引する。「エンジニアファースト」を貫く平出社長にこれまでの歩みと経営哲学を聞いた。

バイトリーダーで掴んだ手応えと、「まず現場から」という選択

―ご自身の生い立ちや、キャリアの原点について教えてください。

町工場を営む父方の祖父と、洋服屋を営む母方の祖父という、身近に経営者がいる環境で育ちました。小さい頃は生意気で、正直、周りから浮いていたと思いますが、成長するにつれて変われたと思います。自分を客観視する力が身に着き、他人とどう調和し、協調しながら物事を進めるかを人一倍考えるようになり、早くから自立を意識するようになったのです。

学生時代はコーヒーチェーン店のオープニングスタッフとして、バイトリーダーを務めていました。仕入れ・発注などの店舗運営業務をほぼ一人で担い、毎日ほかのスタッフとコミュニケーションを取り続けた経験を通じて、自分には人をまとめる力があるのでは、と感じました。この経験をきっかけに、21〜22歳の頃には「将来は会社経営者になる」という明確な目標を持つようになりました。

ただ、何の知識もなく起業するのはリスクがあります。経営者になるために、まずは現場で確かな技術と業務知識を身に着ける必要がある。ではどんな会社に就職するのがいいか?と考えて、身近にあったパソコンや、当時爆発的に普及していた「Microsoft Windows 95」が目につき、IT業界を志しました。まずは現場エンジニアとして力を養おう、そう思ってシステム情報へ入社しました。

学生時代、「自分はリーダーに向いている」と実感するようになったと語る平出氏
学生時代、「自分はリーダーに向いている」と実感するようになったと語る平出氏

厳しい現場で培った「プラスアルファで応える」仕事観

― エンジニアとしてキャリアを重ねる中で、どのような学びがありましたか。

SE(システムエンジニア)になってからは、厳しい現場をいくつも経験しました。入社2年目からリーダーを任されたおかげで、お客様との交渉術や関係の築き方を現場で身に着けることができました。

お客様から報酬をいただいている以上、それ以上の価値を返す。言われたことだけをやるのではなく、プラスアルファで応える。当社の行動理念の「01 否定から入らず、ポジティブに考える」「02 お客様から報酬を頂いていることを忘れず、高いプロ意識を持つ」「03 プラスアルファの精神で臨み、見返りを求めない」は、私自身が当時心がけていたことなんです。

ありがたいことに、それが評価されて20代で部長まで昇格させてもらい、その後はPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)室長として、トラブルを抱えたプロジェクトの立て直しも任されるようになっていきました。

赤字の子会社へ出向、黒字化を経て社長就任へ

― 2015年にエーエスエルへ赴任された当時の状況をお聞かせください。

エーエスエルへ常務取締役として出向・赴任した当時、経営は赤字状態。私はこれを「壁ではなくチャンス」だと捉えました。営業体制の強化が赤字からの脱却に必要だと判断し、自らの人脈も活かしながら精力的に営業活動を展開。その結果、赴任から1カ月で黒字化を達成できました。その後、2017年に代表取締役社長へ就任し、本格的な組織改革を進めていくことになります。

「社員の幸せ」を軸に、1%の改善を積み重ねる経営哲学

― 経営者として大切にされていることは何でしょうか。

経営で最優先に掲げているのは、「社員が幸せになること」です。私自身がかつて過酷な現場を経験してきたエンジニア出身だからこそ、ただ売上や数字を追うのではなく、現場で働くエンジニアが安心して長く活躍できる環境を整えることが不可欠だと考えています。

経営の最優先課題は「社員が幸せになること」と語る平出氏
経営の最優先課題は「社員が幸せになること」と語る平出氏

当社では、一人ひとりのエンジニアが持つ「どんな技術を磨きたいか」「どんな環境で働きたいか」という個人のキャリア希望や意思を何よりも尊重しています。そのため、本人の意向確認なしに配属を決めることはありません。それぞれの意思を持ったパートナーとしてエンジニアと向き合い、その成長と幸せを支援することを何より大切にしているのです。

現在、IT業界では実務経験豊富なエンジニアのニーズが高まっており、激しい人材獲得競争の中にあります。当社もエンジニア経験者に特化した採用活動を行っていますが、エンジニアから「選ばれる会社」になるための、オフィス環境や福利厚生への投資は惜しみません。

同時に大切にしているのが、会社の情報を正直に、正確に届けること。求職者が入社を決めるまでには、Webサイト、面接官やオフィスの印象、求人情報など様々な判断要素があります。常日頃それらの改善に努めながら、求職者がエーエスエルについて調べたときに、きちんと正しい情報にたどり着けること。良い面だけでなく、ありのままの姿を知ったうえで納得して入社していただくこと。それらを大切にしながら、発信する情報の一つひとつを確認しながら、1%ずつ地道に改善を積み重ねていく。そういう「積み上げ式ブランディング」をおこなっています。

当社では、多くのエンジニアがクライアントの元で勤務しているのですが、「社員の交流の場がほしい」という声に応えて、赤坂に専属フレンチシェフのいる社員専用レストランバーも開設しました。こうした「社員が自然と集まりたくなる居心地の良い空間づくり」もまた、エンジニアファーストの実践にほかなりません。

エーエスエル本社
エーエスエル本社
エーエスエル本社

細やかな環境整備やサポートを地道に積み重ねた結果、社員満足度は94%という高い数字を達成。社員のおよそ2割が紹介を通じて入社しており、優秀な人材が集まる好循環を生み出しています。エンジニア一人ひとりの意思が尊重され、仲間と繋がりながら安心して長く働き続けられる「エンジニアにとってのオアシス」となるよう、温かく健全な組織づくりを追求し続けています。

AI時代にこそ問われる、「誠実さ」と「伝える力」

― これから先、何を目指し、次世代へどのようなメッセージを伝えていきますか。

変化が極めて激しい現代において、固定化された中・長期計画を立てるよりも、迅速な意思決定と柔軟な軌道修正を重視しています。計画は持ちつつも、生まれたチャンスに対して即座に行動を起こすスタイルを貫く方針です。

また、経営者として大切にしているのは「仕事や人に対して誠実であること」「他人の生き方を否定せず個性を尊重すること」。トップが信頼を失えば、組織は一瞬で崩れてしまいます。嘘や誤魔化しのない誠実な姿勢で人と向き合い、エンジニア一人ひとりを尊重し続けることこそが、顧客や仲間からの揺るぎない信頼を生んで会社を成長させるのだと確信しています。

次世代のリーダーや若手エンジニアには、どれだけAIが進歩しようとも、『他者を尊重しながら自分の意図を正確に伝える力』と『何事にも真摯に向き合う誠実さ』を大事にしてほしいと伝えたいですね。エーエスエルで働いてくれている全ての従業員が、自分が納得できる「後悔しない選択」をしていってほしいと願っています。

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