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まん福HDが実現する、「うまい」でつなぐ三方よしのM&A

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「後継者がいないという理由だけで、伝統ある日本の食文化を失わせてはならない」と語るまん福ホールディングス株式会社 専務取締役CPO 九嶋広一氏

まん福ホールディングス株式会社のM&Aは、極めて明確な「選別」から始まる。対象は食に関わる後継者不足に悩む企業に限定しているが、最も重視するのは「美味しさ」。

「試食の段階で料理への愛情や作った人の想いが感じられず『美味しくない』と判断すれば、お断りすることもあります」と九嶋氏は断言。これは、同社の理念である「『うまい』でこの星をしあわせ一杯に。」を具現化するための徹底したこだわりだという。「残すべき価値がある味」にのみ、彼らは全力で手を差し伸べるのだ。

「試食の段階で『美味しくない』と判断すれば、お断りすることもあります」と断言する九嶋氏

現場の痛みを分かち合い、誇りを受け継ぐPMIの二段構え

M&Aにおいて最も困難とされるのが、譲受後の統合プロセスであるPMI。まん福HDでは、このフェーズにおいて「現場の声を聴くこと」を最優先事項として掲げている。

その第一の柱が、現場経験者による徹底した伴走だ。同社のメンバーは全員が飲食・外食産業の経験者であり、現場の苦労や喜びを肌身で知っている。だからこそ、理屈や数字だけではない「現場の視点」に寄り添った改革が可能になるという。

第二の柱は、プロパー社員の積極的な抜擢。グループ内から次世代の経営者を育てることを目標としており、実際に、承継した水産加工工場の社員が新会社の社長に就任した事例も生まれている。外部から経営陣を送り込むだけでなく、もともといた社員がやる気を持って働ける環境を整えることで、組織の活力を引き出していると九嶋氏は語る。

また、前オーナーとの信頼関係も特筆すべき点だ。長年会社を守り抜いてきた先代経営者へのリスペクトを欠かさず、承継後も前オーナーが「ふらっと立ち寄り、挨拶を交わせる」ような温かな空気感を大切にしていると話す。

グループ内の肉加工工場から店舗へ。中間マージンを省き、鮮度とコスト競争力を両立させる川上戦略の要
全国の拠点を結ぶ水産ネットワーク。自社工場での直接加工が、買収後わずか1カ月での原価改善を可能にする

グループの購買力と物流戦略「価値」を顧客へ還元する

まん福HDの強みは、川上(加工会社)から川下(販売・飲食店)までをカバーした事業構造だ。直近でグループに加わったフード・フォレスト社の事例では、承継からわずか1カ月で劇的な原価改善に着手した。グループ内の水産加工会社から、問屋を介さずに直接仕入れるルートへ切り替えたのである。

このコスト削減の成果は、単なる利益追求ではなく、顧客への還元へと向けられる。原材料費の高騰で値上げを余儀なくされる飲食店が多い中、同社はあえて「値下げ」という戦略的な選択肢を検討している。グループの購買力を背景に、お客様が求める「安くて美味しいもの」を提供し続けることで、来店頻度を高め、地域の日常に深く根ざしていくことを目指しているのだ。

原材料高騰に抗い、あえて『値下げ』を模索。グループの購買力を背景に、お客様が毎日手に取りたくなる『安くて旨い』お弁当を追求。

未知の商圏と一次産業への挑戦、そして上場への道標

現在、同社は北海道から熊本まで拠点を広げているが、九嶋氏はさらにその先を見据えている。物流戦略の強化を目的とした関西圏への進出や、これまで持っていなかった「自然薯」という新カテゴリーの獲得など、M&Aを通じて常に新しい視点を取り入れ続けているという。

さらに、食の持続可能性を追求するために、かつては対象外としていた一次産業への進出も視野に入れているそうだ。「国内の食材供給がどこまで続くのかという根本的な問題に向き合わなければならない」という言葉からは、お米や農業といった領域への強い関心が伺えた。

上場という大きな目標に向かって、まん福HDの歩みは加速している。それは、単なる企業規模の拡大ではなく、日本の食の未来を「永劫」に守り抜くための、必然の進化なのだ。

日本の食文化を絶やさず、未来永劫つなぐために。上場を視野に一次産業への進出や物流網の拡大を見据え、さらなる挑戦を続ける九嶋氏。

未来の譲り渡し経営者へ贈るメッセージ

経営者にとって、自らが育て上げた会社を託す決断は、身を削るような思いを伴うもの。しかし、九嶋氏はこう語りかける。

「今の状況を誰も責めることはありません。ぜひ勇気を持って相談してください。我々は全力で引き継がせていただきたいですし、すぐにお話をお伺いしに行きたいと思っております」

一歩踏み出すことで、大切にしてきた「味」と「人」は、新しい舞台でさらなる輝きを放ち始めるはずだ。

「事業承継は、大切な『味』と『人』を次世代へつなぐ一歩。悩めるオーナーに寄り添い、共に未来を築くパートナーでありたいと願う」

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