9億円で買収し、65億円で売却したヒルトン

バーデゾーン
リゾートホテルに相応しい設備を備える(画像はプレスリリース)

ヒルトン小田原は数奇な運命を辿ったホテルでした。もともとはオレンジの輸入自由化で不要になった、みかん園の跡地利用として小田原市が進めたプロジェクトだったのです。

1988年、小田原市が特殊法人の雇用促進事業団に対して誘致活動を行いました。1990年に勤労者福祉施設の建設が決定。1993年に着工、1997年に「スパウザ小田原」が完成し、翌年オープンしました。日本経済新聞によると、総事業費は455億円です。

その後、雇用促進事業団が廃止となり、勤労者福祉施設の新設を行わないことが決定。そして「特殊法人等整理合理化計画」が2001年に閣議決定すると、施設を地方公共団体等に譲渡する流れができました。

スパウザ小田原は、2004年に8億5000万円で小田原市が買収しています。その際、運営をヒルトンに委託しました。そして「ヒルトン小田原リゾート&スパ」としてリブランドオープンします。

ホテルの経営は比較的順調にいっていましたが、2011年に東日本大震災が起こって観光客が激減。ホテルは壊滅的な打撃を受けて、小田原市はホテルを運営するヒルトンからの賃料を放棄します。施設売却を望む声に抗うことができず、2012年にヒルトン・ワールドワイドに9億円で売却しました。

小田原市は売却するまで、取得費用以外にホテル周辺を整備するなどの21億円程度の投資を行っていました。ヒルトン小田原からの総収入は32億円。投資回収は十分できており、売却はスムーズに行われました。

リゾート婚ブームを追い風に独立型チャペルを新設

クリスタル グレイス チャペル
クリスタル グレイス チャペル(画像はプレスリリース)

ホテルに付加価値をつけるヒルトンの運営手法は巧みというほかありません。リブランドする2004年、ヒルトンは敷地内に独立型チャペルを新設しました。1995年に教会挙式の数は、神前挙式を追い越す逆転現象が起こっていました。時を同じくして、ゲストハウスと呼ばれるプライベート型の結婚式場の建設ラッシュが起こります。

ホテルの高い利便性と上質なサービスに、独立型チャペルのプライベート感をプラスした施設は、カップルの注目を集めました。更に、リゾートウェディングに強みを持つワタベウェディング<4696>業務提携し、集客力を強化したのです。

ヒルトンはホテルの収益性を高め、買収金額の7倍もの高値で売却することに成功しました。

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