新入社員が配属され、どのようにOJT教育していくべきか悩んでしまうことはありませんか?今回は、Z世代の特徴にも触れながら、OJT教育の基本や効果を高めるノウハウを全5回に渡ってお伝えします。本日は第3回目です。
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計画的なOJTによって、部下・後輩は必要な業務知識やスキルを効率よく獲得することができます。さらに、実務経験に長けた上司・先輩が直接指導することで、例えばリスト作成業務一つとっても、マニュアルに書いてあることだけでなく、なぜこのリストが必要なのか、この数値にはどんな意味があるのかなど、その業務の「背景」にあるものまで伝えることができます。上司・先輩が確立してきた仕事に対する考え方を学ぶことで、部下・後輩が一人で担当するようになっても、判断に迷ったり、大きく間違った行動をとったりすることが少なくなります。こうした、仕事を行ううえでの「考え方の軸」を確立させることが、新人・若手の早期の即戦力化につながります。
また、OJTはほぼマンツーマンで行われるため、教えられる側の理解や習熟度に合わせて教えるスピードを調整したり、即座にフィードバックを返すこともできます。こうしたパーソナルな指導によって、新人の成長スピードを加速させることができます。
新しくメンバーになった部下・後輩は、「初めての仕事」や「人間関係」にうまく適応できるだろうかと不安を抱いています。OJT担当者は、そのような心理状態を理解したうえで指導に取り組むことが不可欠です。業務以外にも、職場のルールや"常識"を教えたり、同じ職場のメンバーやよく関わる他部署を紹介したりするなど、職場に馴染むきっかけをつくることで、エンゲージメント向上や離職防止につながります。
新入社員へのOJTは入社3~5年目の若手が担当することが多い傾向にあります。歳が近いためお互いに話しやすい、新人の悩みに共感しやすい、若いので情熱をもってやってくれやすい、といった理由も大きいですが、次世代リーダーに向けた教育の一環という面もあります。自分の培ってきた知識・経験を活用し、相手の視点に立って指導するという体験を、OJTを通じて年次の若いうちに経験させることができます。
OFF-JTと違い、OJTを実施するうえでわざわざ研修会場や外部講師を用意する必要はありません。そのうえ、研修期間中に実務をこなしてもらえるのですから、コストがかかるどころか"おつりが来る"と言ってもいいかもしれません。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」
これはかの有名な山本五十六の名言ですが、現代のOJT教育にも通じる指導法であり、心構えそのものであります。では、具体的に見ていきましょう。
まずは必要な指導項目と習得期間を定めた育成目標を設定します。OJT担当者が中心となって行いますが、他の同僚や上司・先輩などにも、得意な業務や技能の指導については協力してもらうなど、部署・チームを巻き込んで育成計画をコーディネートするとよいでしょう。
部下・後輩が業務を覚えるために必要な内容を、相手の知識や習得段階に合わせて、相手が理解しやすい言葉や表現で指示・指導します。そのためには、OJT担当者が業務の意義や前後の工程などをしっかり理解し、相手にわかりやすく話せるようにしておく必要があります。
ひと通り説明した後、部下・後輩に「わかった?」と聞くと、反射的に「はい」という返事が返ってくることも多いものです。念のため、「何をしなきゃならないか、最初から言ってみて」というように、自分でやるべきことを具体的に口に出して確認させることで、理解度をはかってみると安心です。
指示した後は任せっぱなしではなく、途中で進捗確認のための「報連相(ホウ・レン・ソウ)」を受け、アウトプットの方向性がずれていないか確かめる必要があります。もし方向がずれていた場合はアドバイスをして軌道修正をします。
報連相のタイミングとしては、2パターンあります。すぐにできる仕事を指示する場合は完了した時点で、時間のかかる仕事の場合には期限の中間あたり、つまり作業内容の大まかなアウトラインができた頃がベストです。
特に作業内容が難しい場合は、進める方向が間違っていないかを着手後できるだけ早く確認することで、早い段階での修正や支援が可能になります。
部下・後輩の成長を促すうえでは、上司・先輩から適切なタイミングで的確なほめ言葉を投げかけ、良い関係性を築くことが何より有効です。
①ほめ方
OJTの初期段階では、「真面目だね」「感じがいいね」等の第一印象としてのほめ言葉を意識的にかけます。時間を経て、ある程度相手の特技や長所が分かってきたら、「文章が上手いね」「論理的だね」等の具体的なほめ言葉にシフトしていきます。
②叱り方
失敗や挫折経験が少ない新人・若手に対して、叱った後のフォローが適切でないと「人生で初めて叱られた」という挫折感から、転職を選ぶ可能性もあります。「改善のキッカケ」であると前向きに考えられるようにフォローすることが大切です。
具体的には、以下の「叱り方の手順」を理解しておきましょう。
手順1 叱るべき内容を判断する(叱る前に、きちんと教えていたか振り返る)
手順2 叱るタイミングを慎重に決める(緊急時以外は、相手の仕事が一段落した時に)
手順3 考え・気持ち(自分の失敗談や相手への期待など)を伝え、フォローする
手順3では、指導した点を改善しないと同じ失敗をすることや、相手や自分に危険が発生するなど、改善を求める理由をできる限り明確にします。そうすれば相手も受け入れやすいうえに、「自分のためを思って言ってくれている」と感じるものです。
株式会社インソース より