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相次ぐ弾道ミサイル発射、北朝鮮の「ものづくり力」は向上した?

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北朝鮮の弾道ミサイル発射実験がハイペースで繰り返されている(Photo By Reuters)

「ものづくり力」は「量産力」

旧日本軍でも日米開戦に備えて、米フォード・モーターや米ゼネラル・モーターズ(GM)から調達していた軍用トラックの国産化に乗り出した。試作車では米国車を上回る品質や性能を発揮したものの、実際に量産が始まると品質不良が多発したとの記録が残る。

これも試作車では優秀な熟練工が製造の全行程に携わったものの、量産ではそこまで手が回らなかったため製造工程で一般工員によるミスや不具合が多発したことが原因だった。日本の「ものづくり力」すなわり「量産力」が向上するのは、生産管理が広く普及した戦後の高度成長期を待たなければならなかった。

つまり、「ものづくり力」とは高品質での量産を可能にする生産管理・技術を指す。経済不振が続き、大型工業製品の量産実績が乏しい北朝鮮の「ものづくり力」は高くなさそうだ。軍事力でも「一品生産」の弾道ミサイルや輸入品の兵器は機能しても、純国産の通常兵器では品質不良による稼働率の低下が懸念される。

1998年には北朝鮮の小型潜水艇がサンマ漁の網にかかって航行不能となり韓国海軍に捕獲されるなど、実際の運用上でも問題が発生している。少数しか配置できない弾道ミサイルは、外交交渉の威嚇か先制攻撃でしか使えない。仮に北朝鮮が先制攻撃に成功したとしても、安定した品質の量産兵器を供給できる「ものづくり力」がなければ、軍事的な反撃に耐えられず短期間のうちに全土が制圧されることになる。

文:M&A Online編集部

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