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M&Aという魔法で躍進したディズニー

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※画像はイメージです

マーベル買収の方式としては、株式の取得対価としてマーベル株式1株あたり現金30ドルとディズニー株0.745株を支払うという方法がとられた。この価格は当時のマーベル株の直近終値に29%上乗せした水準であった。

買収により再び覚醒されたルーカス・フィルム

2012年10月、ディズニーはルーカス・フィルムを40億5千万ドルで買収することを発表した。同社は1971年にジョージ・ルーカス氏により設立した映画会社で、「スター・ウォーズ」、「インディ・ジョーンズ」などの作品で知られる。上述のとおり、当初ルーカス・フィルム傘下であったピクサーは、アップル傘下を経て、2006年5月にディズニーに買収されており、2012年の買収により再びルーカス・フィルムとピクサーがディズニー傘下でグループ会社となっていることは興味深い。

ディズニー傘下となってから早速2015年には「スター・ウォーズ 」7作目となる「フォースの覚醒」が公開され、2017年12月には8作目となる「最後のジェダイ」の公開が予定されている。ルーカス・フィルムがディズニー傘下とならなかったら、これらの作品が制作されなかった可能性もある。ディズニーによる買収のおかげで、今後も「スター・ウォーズ 」のスピンオフ映画である「ハン・ソロ」など新作が楽しめるのは「スター・ウォーズ 」ファンにとっても恩恵といえるだろう。

ディズニーの業績も好調

ピクサーの買収は74億ドル、マーベルおよびルーカス・フィルムの買収はそれぞれ40億ドルと巨額の買い物であるが、ディズニーにとっては十分勝算があっての買い物だった。

まず、ディズニー傘下となってからのピクサーが制作したアニメ映画のうち、特に興行収入が高いものだけでも「トイ・ストーリー3」(約10億ドル)、「モンスターズ・ユニバーシティ」(約7億ドル)、「インサイド・ヘッド」(約8億ドル)、「ファインディング・ドリー」(約9億ドル)など枚挙にいとまがない。むしろ、歴代のピクサー映画のうち興行収入ランキング上位の作品のほとんどはディズニー傘下で作られたものともいえる。

また、ディズニー傘下となってからルーカス・フィルムが初めて制作した「スター・ウォーズ 」作品であるエピソード7「フォースの覚醒」は、これまでの興行収入の記録を大幅に塗り替える約20億ドルの大ヒットとなった。「スター・ウォーズ 」の場合、特に関連商品の訴求力も強いため、たとえばマーベルから書籍を販売すれば、たちまちミリオンヒットとなる。

今後、様々なキャラクターを使用する権利を得たディズニーは、映画の製作、配給を行うスタジオ・エンターテインメント部門だけでなく、ライセンシング事業やグッズ販売を行うコンシューマ・プロダクツ部門の収益力を高めることになるだろう。

THE WALT DISNEY COMPANYの株価

The Walt Disney Company Investor Relationsより

このように盤石の体制を築きつつあるディズニーの株価は好調だ。また、それを裏付ける業績も増収増益を続けている。これらの業績は、花形である映画部門だけでなく、収益の柱となっているメディア・ネットワーク部門の堅調さの賜物でもある。

教育番組なども含むディズニーチャンネル、米国最大のスポーツチャンネルであるESPN、ニュース番組などを放映するケーブルテレビ局のABCなどを擁する主力のメディア・ネットワーク部門に加えて、ピクサー、マーベル、ルーカス・フィルムというキャッシュ製造マシーンを手に入れたディズニーへの期待が株価にも表れているといえる。

文:M&A Online編集部

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