「買収効果が出る クロスボーダーM&Aの組織・人事手法」
マーサージャパンのグローバルM&Aコンサルティング・竹田年朗氏による「買収効果が出る クロスボーダーM&Aの組織・人事手法」を取り上げる。
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本も紹介する。
企業の不祥事の陰にある原因の一つが「お家騒動」。今年だけでもセブン&アイ・ホールディングスや出光興産、大戸屋ホールディングスなど、数々の内紛劇が明るみとなり、その行く末に世間の注目が集まった。国民的アイドルグループSMAPが年内で解散となるのもジャニーズ事務所内のお家騒動が原因だといわれている。
このように親子や親族の人間関係が経営や企業イメージに大きな影響を与える同族経営。中小企業はもちろんのこと、ウォルマートやフォルクスワーゲンなど世界的な大企業にも同族経営が多く、その数は実に世界の企業の80~90%を占めるという。
日本も法人企業255万社のうち、97%が同族会社。自分が勤める会社でもお家騒動が勃発、なんてことになる可能性もあるだけに、まさに他人事では済まされない。
本著は、同族経営の中でも特に親子経営にスポットを当てて、その難しさとすばらしさを説く1冊。ロッテや大塚家具などのお家騒動をはじめ、著者が出会った経営者や後継者を例に挙げながら、親子経営の問題点とその解決策を提示している。
章ごとに、現役経営者である親、後継者である子、従業員のオーナ一一族、そして一人ひとりの社員に焦点を当てて、彼らが抱えがちな問題点に“ダメ出し”をしつつ、自らの経験と儒教の四書からの教えを引き合いに出して、その対処方法を指南する構成だ。最後には、ともすれば弱みとなる同族経営ならではの強みを7つ紹介し、同族経営を賛美する形で締めくくられている。
親子経営の一番の肝となるのは事業承継。スムーズに経営交代できるか否かが、その企業の今後を左右する。それには、親と子、両者のちょっとした変化、つまりは歩み寄りが必要になると著者は言う。これは、会社経営を抜きにした一般的な親子関係にも当てはまるのではないだろうか。
本著は、経営者のみならず、親子関係に悩む人にとっても何かしらの問題解決の糸口となるだろう。
文:M&A Online編集部
マーサージャパンのグローバルM&Aコンサルティング・竹田年朗氏による「買収効果が出る クロスボーダーM&Aの組織・人事手法」を取り上げる。