「親子経営 ダメでしょ モメてちゃ 親子だから経営力が高まる本当のこと」
「親子経営 ダメでしょ モメてちゃ 親子だから経営力が高まる本当のこと」。セブン&アイ・ホールディングスやロッテ、大塚家具など、昨今話題の「お家騒動」を入り口に、親子経営の真価を問い直す1冊だ。
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本も紹介する。
今年10月に東証1部に上場したJR九州。今年の新規株式公開(IPO)の中でも、LINEに次ぐ大型上場として注目を集めた。
本著は、そんなJR九州の会長を務める唐池恒二氏による書き下ろしの1冊。大人気の豪華クルーズトレイン「ななつ星」の生みの親である著者が、さまざまな仕事を通じて自らが得てきた22の学びを提示する。くすっと笑えるエピソードやドラマ顔負けの出来事などを交えながら、現場を渡り歩いてきたビジネスマンとしての自身の言葉で綴られているだけに、説得力も面白みもある。
22の学びは、著者がJR九州で携わった船舶事業、外食事業、そして「ななつ星」に代表される「デザイン&ストーリー列車」の3つの仕事をメインに紐解かれていく。
特に読んでいて愉快痛快なのは、外食事業に携わっていた時の話。1993年4月に外食事業部次長となった著者だが、当時の外食事業は売上25億円、営業損失8億円を超える大赤字の事業であった。そんなJR九州のお荷物と見られていた外食事業部を3年間で黒字化・分社化させるまでのストーリーは劇的であり、大きな夢や目標に向かっていく時の人間のパワーや熱意を感じ、読んでいると胸が熱くなる。
当時既に九州各地でさまざまな業態の飲食店を展開していたが、店長のほとんどはもともとは生粋の鉄道マン。彼らの意識改革から始まり、月次損益書の作り方やコストコントロールの概念を叩き込み、“外食軍団”へと変身させた。
もちろん、著者も飲食店のプロではないから猛勉強をするのだが、その際に“先生”となったものの1つに本があったという。飲食店経営の指南書を片っぱしから読み漁り、ある1冊の本を信じぬいて実行していったそうだ。
こうしたノウハウ本は、気に入った1冊が見つかったら、それを何度も読み返し、書かれてあることをすべて信じてそのとおりに実行するのが成功への近道だと主張する。なるほど、半信半疑に簡単なことだけをやっても、中途半端に終わるだけなのだ。この本が気に入ったら、ぜひここで挙げられた22の学びを全て実践してみてほしい。
画家の山口晃氏が表紙や挿絵を担当しているのも見どころの一つ。電子版ではなく紙の本で楽しむのがおすすめだ。
文:M&A Online編集部
「親子経営 ダメでしょ モメてちゃ 親子だから経営力が高まる本当のこと」。セブン&アイ・ホールディングスやロッテ、大塚家具など、昨今話題の「お家騒動」を入り口に、親子経営の真価を問い直す1冊だ。