【現場の声】ナチュラルチーズメーカーのパイオニア、アトリエ・ド・フロマージュトップが語る。業績好調の中大手食品メーカーに譲渡された経緯とは?

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※アトリエ・ド・フロマージュ会長の松岡 容子 氏とチーズ

 今になって振り返ると、こだわりを持ってつくり続けてきた商品や店舗が、自分たちの文化にまでなったのだと思っています。有名な企業経営者にも「アトリエには文化がある」と言われました。フランス大使館やイギリス大使館の方もいらっしゃるし、初めて会う方にも「昔お店に行ったことがある」と言われる。感性の豊かな方々に認められ、広めてもらえる何か……パッと見ても気づかない、こだわりを持って築いてきた文化や本物感があって、今があるのだと思います。

譲渡を検討されるきっかけや経緯は?

 自分が新しい投資にちゅうちょしたときに、「あ、自分は経営者としてふさわしくないな」と思ったタイミングがありました。そこでスパッと経営からの引退を考えたのです。私はそれまで、設備投資や新商品開発に迷ってこなかったんですね。資金を借りて設備投資しても5年で返してきました。でも、私が60歳になって、借入をしたら回収までにまた5年かかりますから、どうしようかとためらってしまったのですね。いろいろな社長がいると思いますが、私自身が投資に逡巡する経営者は失格だと思っていたので、それが大きなきっかけになりました。

 もう一つ、危機対応能力への不安がありました。最近は震災などの災害が増えてきて、万が一以上のリスクを考えなければなりません。病気の主人(前社長)の面倒も見なければなりませんし、従業員も守らなければならない。5年後の自分は、危機に対してベストな対応ができるだろうか、と。ふとそう思ってしまったときに、自分は社長から退くべきだと判断しました。

M&A Online編集部

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