2022年上半期の日本企業が関与するM&A公表案件は8.6兆円と前年同期比16.9%減少し2020年以来の低水準となった。1000億円超の案件は総額4.9兆円で前年同期比29.7%減少。一方、案件数べースでは24件と14.3%の増加となった。
2022年前半のヘルスケア業界(医薬品、調剤薬局・ドラッグストア、医療サービス)のM&Aは、件数・取引金額ともに低迷した。件数は11件と前年同期より3件少なく、2020年以来3年連続の減少となった。取引金額も2年ぶりの減少に終わっている。
コロナ禍でペースが鈍っていた日本企業の海外M&Aが再加速しそうだ。国内市場を横目に海外に成長を求めるニーズは強く、水面下の案件が増加している。金利上昇を受けて欧米企業の買収意欲が減ったこともあり、24年ぶりの円安も逆風とはなっていない。
取引金額100億円以上の大型M&Aが高水準で推移している。2022年上期の時点で、その数は44件(適時開示ベース)と前年上期の33件をすでに11件上回る。今のペースでいけば、2016年の年間87件を超え、過去最多となる公算が大きい。
2022年5月にエレベーターなどの昇降機メーカーであるフジテックの株式を2.44%買い増し、保有割合を9.73%に高めていた香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドに動きはなかった。
M&A Online編集部がM&Aデータベースで、製造業の2022年1-6月のM&A発表案件(適時開示ベース)を集計したところ、2022年前半の製造業のM&Aは件数・取引金額ともに振るわなかった。件数は微減だったが、取引金額は大幅に減った。
M&A Online編集部がM&Aデータベースで、IT・ソフトウエア業界の2022年1-6月のM&A発表案件を集計したところ、件数は85件で、1-6月としては2013年以降の10年間で、過去最多となったことが分かった。
2022年6月のM&A件数(適時開示ベース)は73件と前年同月を22件上回り、過去10年で最多となった。6月は上場企業の株主総会の集中月。例年、M&Aを手控える傾向があり、1年を通じて最も件数が少ないが、今年は1月(64件)、4月(70件)をすでに超えており、これまでのパターンが崩れた格好だ。
リフィニティブによると、日本企業が関与したM&Aは今年に入ってから速報値ベースで8.1兆円に達し、前年同期比で21.9%減少した。アウトバウンド型が46.1%減となった一方、インバウンド型は34.3%増と日本企業が買われる実態が明らかになった。
日本企業の海外M&Aに異変が起きている。2022年もほぼ前半戦を終えたが、日本企業が買い手となるアウトバウンド型取引はここまで35件(6月24日時点)と前年を3割下回る。一方、外国企業が買い手となるインバウンド型取引は32件と前年並み。昨年まで日本企業による買収が圧倒的に優勢だったが、今年は形勢が逆転しかねない状況なのだ。