経済危機による政情不安が続くスリランカ。帝国データバンクによると、日本からの進出企業は180社(7月時点)を数える。こうした中、日本企業とのM&A取引は一体、どの程度あるのだろうか。
2022年下期入りした7月のM&A市場(適時開示ベース)が“夏枯れ”の様相を呈している。3週間を過ぎた7月22日時点のM&A件数は28件と、前年の同期間(45件)を17件下回る。一方、取引金額は253億円にとどまり、100億円を超える大型案件もここまでゼロだ。
米国でM&Aが下火になっている。米金融大手6社の2022年4~6月期決算で全社が大幅減益という結果に。貸倒引当金の繰り入れをはじめとする不良債権処理費が増加したのに加え、企業の株式発行や好調だったM&Aも振るわなかった。なぜそうなったのか。
2022年上期(1~6月)の小売業界を対象としたM&A件数(適時開示ベース)は34件と前年同期を9件上回った。アパレル関連が7件と最も多く、調剤薬局・ドラッグストア、リユース(中古)品の各3件が続いた。
全国で3800社を超える上場企業のうち、2022年上期(1~6月)に最も多くのM&Aに取り組んだのはどこか? M&A Online編集部が適時開示情報をもとに調べたところ、エルテスとピアズが5件でトップに並んだ。
飲食業界はコロナ禍で、大打撃を受けており、M&Aによって事業を拡大する機運が萎んだようだ。
2022年上期(1~6月)のM&A件数(適時開示ベース)は前年同期比12件増の458件で、リーマンショック(2008年)後の年間最多を記録した前年を上回るペースを示した。ただ、ウクライナ危機、急激な円安が続く中、国境をまたぐ海外M&Aが落ち込み、国内M&A主導の展開が鮮明になっている。
2022年上半期の日本企業が関与するM&A公表案件は8.6兆円と前年同期比16.9%減少し2020年以来の低水準となった。1000億円超の案件は総額4.9兆円で前年同期比29.7%減少。一方、案件数べースでは24件と14.3%の増加となった。
2022年前半のヘルスケア業界(医薬品、調剤薬局・ドラッグストア、医療サービス)のM&Aは、件数・取引金額ともに低迷した。件数は11件と前年同期より3件少なく、2020年以来3年連続の減少となった。取引金額も2年ぶりの減少に終わっている。
コロナ禍でペースが鈍っていた日本企業の海外M&Aが再加速しそうだ。国内市場を横目に海外に成長を求めるニーズは強く、水面下の案件が増加している。金利上昇を受けて欧米企業の買収意欲が減ったこともあり、24年ぶりの円安も逆風とはなっていない。