NEXT STORY
大学発ベンチャーの「起源」(67) ElevationSpace
ElevationSpaceは東北大学発の宇宙開発ベンチャー。同大院工学研究科航空宇宙工学専攻の桒原聡文准教授らの研究成果を実用化するため立ち上げた。「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」のが同社のミッション(使命)だ。
新型ロケット「H3」1号機を発射できなかったトラブルは「失敗」だったかどうかが議論になっている。会見で記者団からの「失敗だったのではないか」との質問に、JAXA側は「設計の想定範囲内での事象のため、失敗ではない」で押し通した。ネット上では「失敗」と決めつけた記者の態度に対する反発が広がっているが、今回の中止は本当に「失敗」だったのか?宇宙ビジネスの視点で検証してみよう。
「H3」ロケットは宇宙ビジネスに参入するため、国際競争力のあるロケットを目指して開発された。2014年度から開発が始まり、コスト削減のために日本では初めて設計・開発段階から民間企業である三菱重工業<7011>が中心となってプロジェクトを進めている。三菱重工業が独占受注することでライン生産方式によるロケットの量産化を実現し、コストダウンにつなげるのが狙いだ。
JAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャーは「H3」について、「今までのような技術開発ではなく、事業開発にしたい」と語っている。つまり「H3」は従来の科学技術振興ではなく、ビジネスとして成り立つことが「ゴール」なのだ。その視点だと、打ち上げ中止は明確に「失敗」といえる。ビジネスにおいて「納期」は重要だからだ。
「H3」の契約には打ち上げの失敗や延期の免責事項は盛り込まれているだろう。とはいえ、ビジネスとなれば「信用」も重要な競争力となる。「H3」は2020年度の1号機打ち上げを目指していたが、2020年5月の燃焼試験で新開発のLE-9エンジンに技術的課題が持ち上がり、打ち上げを2021年度へ1年延期。2022年1月には再延期を決定し、今年2月にずれ込んだ。プロジェクトは、すでに2年も遅れている。
これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。
ElevationSpaceは東北大学発の宇宙開発ベンチャー。同大院工学研究科航空宇宙工学専攻の桒原聡文准教授らの研究成果を実用化するため立ち上げた。「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」のが同社のミッション(使命)だ。