利用者登録数は2017年12月末で45万2,600社を数え、スタートした2013年2月末(4万5,583社)の9.9倍(892.9%増)に増えている。だが、2016年12月末の44万4,025社と比較すると1.9%増にとどまり、3.4%増だった2016年12月末より1.5ポイント低下、頭打ち傾向が鮮明になっている。
でんさい額はスタートから右肩上がりで伸びているが、2017年12月末で手形交換高の3.9%に過ぎず、従来の手形に代わるには浸透度が今一歩の状態にある。
手形や「でんさい」は半年間に2回の不渡り(決済不履行)を起こすと取引停止処分のペナルティが科され、事実上の倒産に追い込まれる。大手企業を中心に手形離れが定着し、中小企業でも手形決済が減少し、現金決済が広がっている。
現金決済はペナルティがなく、支払不履行は当事者間の事情にとどまる。こうした事を背景に、現金決済の広がりは手形取引の基本ルールであるペナルティを避ける動きと重なる部分もあるかもしれない。
手形交換高は減少し、でんさい額は年々伸びを見せている。だが、依然として手形交換高とでんさい額には25.0倍の開きがある。さらに、「でんさい」自体の利用者登録数の伸びも鈍化している。
「でんさい」の伸びない背景には、取引先との商慣習や中小・零細企業で経理事務のIT化が遅れていることも要因として考えられる。
政府は2016年12月、下請事業者の保護を目的に「下請代金支払遅延等防止法」の運用基準や「下請中小企業振興法」の振興基準を改正した。支払決済の現金化や手形期日の短縮(60日以内)、手形割引料を支払元が負担するなど、これまでになかった下請中小事業者の取引条件改善を盛り込んでいる。
それに続き、全国銀行協会も2017年12月から始めた検討会で、産業界や官庁、金融界などと手形・小切手の完全電子化に向けて協議、2018年中にも完全電子化の目標時期を定めるとした。これは未来投資戦略の「オールジャパンでの電子手形・小切手への移行」に対応し、IT化が遅れた中小・零細事業者に配慮し、助成金や税優遇などでのサポートも検討する。
個人決済におけるキャッシュレスや仮想通貨利用などの動向が、企業間取引に与える影響にも留意し、国を挙げて推進される電子化移行への動きが中小企業にどう影響するか注視が必要だろう。
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