パワーカップル主役の「マンションバブル」が崩壊するリスクとは

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パワーカップルの旺盛な需要ががマンション価格をつり上げている(写真はイメージ)

最大のリスクは「リストラ」

さらに不動産投資と違い、実際にオーナーが暮らす「実需」であることも大きい。35年ローンの場合は同じ6750万円の物件でも、月々のローン支払額は1990年(金利5.5%)は36万2485円だが、現在(同1.08%)では19万3069円と半額近い。家賃として考えれば年間230万円と、年収の11.5%で抑えられる計算だ。同一条件の賃貸マンションに入居するよりも安上がりになる。不動産を持たない首都圏のパワーカップルが「買い」に走るのも当然だ。

投資でなく実需、しかも低金利となると、首都圏のマンションバブルは安全に見える。しかし、現実にはリスクもある。最大の懸念材料は雇用リスクだ。かつては企業業績が悪化した時に50代以降の社員が対象になるケースがほとんどだったが、最近は業績がそれほど悪くなくてもリストラを断行する企業が増えている。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が「45歳定年制」に言及して話題になった。役員候補ではなく、システム開発などの専門知識を持たない40代後半より年上の社員は全員がリストラ対象になるだろう。パワーカップルの場合、夫婦のどちらかがリストラされ、再就職に成功したとしても年収ダウンすればローン負担は重くなる。

ただ、住宅バブルの崩壊がマンション業者や金融機関を苦しめることはないだろう。マンション業者は新築物件の供給を絞っている。これは意図的ではなく、都心のマンション用地確保が難しくなったことや建設労働者不足といった物理的な制約による。今年10月の販売戸数は前年同月比38.8%減の2055戸にとどまった。

結果的にそれが新築マンションの価格下落を防いでいる。「即日完売」物件も多く、バブル崩壊時のように大量在庫を抱えて経営危機に追い込まれる建設業者は少ないはずだ。

一方、金融機関は仮にマンション購入者がローン返済に行き詰まっても、首都圏とりわけ都心のマンションはリセールバリューが高い。傷は浅いだろう。首都圏マンションバブル崩壊で「大やけど」を負うのは購入者だけになりそうだ。

文:M&A Online編集部

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