ユニゾン・キャピタルは再建を果たした2022年に、持株の売却を計画します。その相手がオイシックスでした。ユニゾンのB種優先株は普通株への転換権があり、転換すると保有比率が28%超となります。
オイシックスが取得しようとしたのは、ユニゾンの持株分のみでした。株式の1/3を超える場合はTOBの実施が義務付けられていますが、オイシックスの取得は基準値を超えるものではありませんでした。
しかし、ユニゾンはTOBによる取得を求めました。別の候補者が現れ、株価が上昇することに期待したものと考えられます。
このTOBが経営陣を混乱させる引き金となりました。当時の取締役3名が、このTOBは創業家とオイシックスが勝手に進めたものだと反発したのです。給食事業の協業先がオイシックスに限定され、本来得られるはずの利益を失う可能性があることを危惧したものでした。
しかし、懸念材料は他にもありました。
オイシックスはかつてシダックスから出資を受けるなど、親密な関係にありました。志太家の持株とオイシックスを合わせると、保有比率は6割を超えることになります。仮にオイシックスが志田氏に対する恩義があって、頭が上がらない関係なのであれば、志田氏の支配力が強まります。反対した当時の取締役は、シダックスの定時株主総会における議決権の行使率は7割程度であり、2/3の賛成が必要な特別決議を成立させることができると警戒感を露わにしました。
最終的には公平に検討することで合意が得られ、TOBは成立します。業績も回復し、一連の混乱は終結したように見えます。
ただし、死角がないわけではありません。
2023年3月期において、V字回復に寄与しているのは車両運行サービスと社会サービス。両事業はコロナ禍による需要回復で増収増益となりました。
主力のフードサービスの売上高は前期比0.9%減の519億7,600万円、営業利益は同13.9%減の22億7,600万円でした。減収減益となったのです。
シダックスはオイシックスとの協業により、オイシックスが得意とするミールキットを活用して取引先となる保育施設の拡大などを計画していました。しかし、TOBで生じた軋轢により、協業体制は保留状態。2023年内に協業内容、事業戦略を発表するとしています。その内容が、今のシダックスの命運を握っていると言えます。
麦とホップ@ビールを飲む理由
「今期も工作機械を数件買収する。遠くない時期に発表できる」ニデックの永守重信代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)は、2023年4月24日に東京・大手町で開いた決算説明会で、こう明言した。