新型コロナ感染、実は「年内に第6波が来ない」が最も危ない

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新規感染者の激減でワクチン接種会場も閑古鳥(写真はイメージ)

2度のワクチン接種率足踏みが最大の懸念材料

コロナワクチンを2度接種したにもかかわらず感染する「ブレークスルー感染」が起こっているのは事実だが、その場合もワクチン接種が完了していれば比較的軽症で済む可能性が高いことは分かっている。しかし、自身は軽症で済んでもウイルスを撒き散らすことには変わりない。

一方、ワクチン未接種者もコロナ感染が終息したと感じれば、わざわざ接種しようとは考えないだろう。その結果、ブースター接種をしなかった高齢者が、未接種の高齢者と接触した場合、過去の感染拡大よりも深刻な被害をもたらしかねない。

年齢別では接種率が低い若年層も同様だ。現在、主流となっているデルタ株は健康な若年層でも、重症化リスクが高いことが分かっている。「コロナ禍は終息した」と思い込み、実際にはそうでなかった時の揺り返しは相当激しいものになるだろう。

ブースター接種には未知の部分も多い。ワクチンなどによる抗体の減少には個人差があり、抗体とは別の細胞性免疫もワクチン同様に半年で効果が下がるかどうかも分かってはいない。なので、現時点で最大のリスクはブースター接種の有無ではなく、2度のワクチン接種率が頭打ちになることだ。こちらの危険性は、第5波で明らかになった。

実際、ワクチン接種が進んだ欧米で続いている感染拡大はワクチン未接種者によるものだ。2度のワクチン接種をした人が軽症で済むから、仮に第6波が到来しても過去の感染拡大に比べれば影響は少ないとの見方もある。

だが、コロナ感染者が増えれば、これまで通り一般医療にもしわ寄せが来るのは間違いない。国民の健康福祉全体を考えれば、重要な問題は残ったままなのだ。さらに軽症であれ感染者が出続ければ、新たな変異株発生にもつながりかねない。コロナ禍の緊張感が緩むのをどう防ぐのかが、今後のコロナ対策の重要なテーマになるだろう。

文・M&A Online編集部

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