3代目が暖簾分けを進めたのには、販路拡大のほかに、果物という日持ちがしない商品を扱うからこその理由がありました。千疋屋総本店の社史によると、それは売れ残りのリスクを分散するためとのこと。取り扱う品種を増やしつつも旬の果物を提供するという販売方針を貫くためには、売れ残りの問題を解決する必要があったのです。そこで、暖簾分けした店と共同で商品を仕入れ、商品在庫や売れ残りの損失を分かち合うという戦略に出たというわけです。こうしてリスクを分散することで、フルーツパーラーといった新しい業態や店舗数拡大など、その後の攻めの経営が可能になったともいえるでしょう。
3社の間には資本関係はないものの、同じ「千疋屋」ブランドを掲げる同士として、2008年から部門ごとに「千疋屋3社交流会」を開催。互いの商品の試食会をはじめ、共同仕入れやジャムなどの共同開発も行っているといいます。
同じ“暖簾”という伝統と繋がりを守りつつ、個性豊かに展開する「千疋屋」。次の50年、100年と、それぞれの「千疋屋」が切磋琢磨しつつ、どうなっていくのか、注目です。
文:M&A Online編集部
甘く爽やかな味で老若男女に人気な乳酸菌飲料「カルピス」。カルピスは飲料としてだけでなく、M&A市場でも人気者でした。味の素からアサヒグループに親会社が交代し、販売や商品の面で統合が進んでいます。