「デンタス」歯科技工士の仕事環境に新風を巻き起こす|【東証PRO】 

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入れ歯も消費者が選ぶ時代に(写真はイメージです。SARINYAPINNGAM /iStock)

徳島市に本社を置き、歯科技工関連事業を手がけるデンタス<6174>。歯形の形状を読み込んでデータ化し、熟練技能が必要だった歯科技工物の原型を製作する。歯科技工という産業の課題を解決していくために、全国の歯科技工所100事業所と「デンタスクラブ」という会員組織をつくり、経営セミナーの開催や会員価格、優待価格による歯科材料の販売、各種経営相談などを行っている。2015年9月に東京プロマーケットに上場した。

資格者の減少と高齢化に歯止めを

歯科技工という産業分野の最大の課題とされるのが歯科技工士の減少と高齢化。2005年頃は2000人を超えていた歯科技工士学校の卒業生は現在、その半数程度。しかも3万5000人程度の就業歯科技工士のうちほど半数が50歳以上といわれている。

かつて、きつい、汚い、危険な職場が「3K」と呼ばれたことがあるが、歯科技工士の職場も例外ではなかった。長時間労働と劣悪な作業環境が若者に敬遠されがちだった。こうした構造的な問題を解決すべく事業を展開しているのがデンタスだ。

生産プロセスから手作業を排除するデンタルラボシステム

デンタスでは独自に開発した「デンタルラボシステム」によって、作業工程の大幅な短縮と効率化を実現し、歯科技工物の生産プロセスを革新した。

従来は下図(オレンジ色の部分)のように、歯科医院が患者の歯形をとって以降の模型製作、トリミング、ワックスアップ、埋没・鋳造、研磨といった歯科技工士側の作業がほとんど手作業だった。それをデンタスでは、3D(三次元)スキャナー・プリンターやCAD/CAM(コンピューター支援設計・製造)機器を活用して自動化した。例えば、入れ歯の生産プロセスについても完全自動化を目指している。

  同社HPから

オーラルケア製品のアイオニックを子会社化

デンタスはこれまで、よくいえば職人の技、換言すれば、労働集約型ともいえた歯科技工士の仕事をオートメーション化した。今後は、用途やニーズに応じて眼鏡やコンタクトレンズを取り換えるのと同じように、消費者が入れ歯を時間と場所、場合に応じて選ぶ時代が来るとしている。

足元の業績を見ると、決して満足できるものとはいえないだろう。2021年3月期決算は売上高15.4%減の3億6100万円、営業損失5300万円(前年同期も同額の5300万円の損失)、最終損失1600万円(同8700万円の損失)。2022年3月期は売上高17.8%増の4億2500万円、営業利益600万円、最終利益1400万円と、増収・黒字化を見込む。

2021年6月にはオーラルケア(口腔)製品を開発・製造するアイオニック(千葉県流山市)を連結子会社化した。アイオニックは1977年設立。イオンの効果で歯垢を落とすイオン歯ブラシを手がけ、中国、韓国、タイ、米国、欧州にも進出している。デンタスは歯科関連で新規ビジネスを模索していた。

デンタスの社長には2020年6月に歯科医の河野恭佑氏が就任。同氏はこれまで25の歯科医院の開業や分院、M&Aに携わってきた。今年4月には「歯科医院革命~大廃業時代の勝ち残り戦略~」(幻冬舎刊)という著書も出している。

これまでの歯科医院経営のノウハウをどのように生かし、業績回復に導くことができるか。新型コロナは休業や顧客の減少など同社の取引先である歯科医院に大きな影響を与えているだけに、その手腕が注目されている。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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