「クボデラ」…木を哲学して75年|【東証PRO】 

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木は命ある根源的な存在。その意味と価値を知ろうとすることが大切だとする(写真はイメージです。Roman Didkivskyi/iStock)

「木を哲学する」会社を企業理念として標榜するクボデラ(東京都中野区。窪寺伸浩社長)<9261>。2017年10月に東京証券取引所TOKYO PRO Market(TPM)に上場した。

同社は木材事業と住宅事業を経営の2本柱とする。木材事業は窪寺社長の祖父の代から続き、その内容は造作プレカット、無垢造作、木材建材、神棚上棟の各事業に分かれる。一方の住宅事業ではプランニング(間取り設計)から建築までをトータルに手がける。

社員30人の小所帯ながら、木材の輸入販売から一般住宅はもちろん、寺社や公共建築物まで事業の幅を広げている。住宅用原材料の輸入仕入れ・加工・流通(販売)・建築まで一気通貫した体制を確立している。

一筋縄ではいかなかった事業展開

クボデラは現社長の伸浩氏の祖父金太郎氏が1945年9月に創業。1950年に窪寺材木店として株式会社化し、1961年4月に台湾桧の製品輸入を始めた。首都圏を中心に市場を開拓し、1964年2月には埼玉県秩父市に秩父木材理学研究所を設立、防虫防腐の木質建材「カラー羽目板」を開発した。以後、台湾桧とカラー羽目板を両輪に業績を伸ばしてきた。

クボデラと社名変更したのは1971年4月。この頃、台湾桧の神棚の生産を始め、タイからチーク材の半製品などの輸入も始める。

だが1981年5月、同社に試練のときが訪れる。「株式会社クボデラ」として木材事業からの撤退を余儀なくされ、その事業を継承するために同名で「クボデラ有限会社」を設立した。特定の事業を切り離しての再起を図ったのだ。

伸浩氏が社長に就任したのは1995年8月。中国から木材の直接輸入を始めたのはこの時期。2005年に注文住宅、リフォームを手がける新会社のマルトミホーム(現マルトミホーム事業部)を設立。クボデラは中国から木材輸入だけでなく、2010年9月に日本の杉や桧の間伐材を利用した集成材の生産を現地で始めた。この事業構造の転換は東京都の経営革新事業に認定された。

「神葬祭」分野にチャレンジ

有限会社から株式会社に再び転換したが、2016年に2度目の試練を迎える。同年9月にマルトミホームを存続会社、クボデラを消滅会社としてグループ内M&Aを実施。存続会社のマルトミホームが社名変更してクボデラとなった。そして2017年10月、東証TOKYO PRO Marketに上場した。

企業理念の「木を哲学する」は、哲学の対象である木を単なる物質としてではなく、人間と同等の命あるものとしてとらえ、根源的な存在として、その意味と価値を知ろうとすることと定義づける。同社の強みは何といっても1軒1軒フルオーダーでの住まいを提供できることにある。

クボデラの業績はどうか。TPM上場まではいくつかの困難な時期もあったが、直近3年間は順調に推移していると言ってよいだろう。

◎クボデラの業績推移(△は損失)

2018/4期 2019/4期 2020/4期
売上高 13億6133万円 15億2003万円 16億3272万円
営業利益 2151万円 2183万円 2733万円
経常利益 758万円 860万円 826万円
当期利益 470万円 283万円 △1166万円

今後は、建築工事で発生する端材、おが粉などの農業などへの有効活用に力を入れるほか、社寺建築や神棚などについては輸出を含めた新しい需要の発掘に努めていく。さらに、日本ではまだ定着しているとは言い難い「神葬祭」の分野への挑戦も目指している。神社建築への木材の納材や神棚の普及といった事業への相乗効果も見込む。

文:M&A Online編集部

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