2008年、プロ向け市場制度として東京証券取引所にTOKYO PRO Market(TPM)という新市場が生まれた。それから10年ほどの間に、いくつもの個性的な企業が上場を果たしてきた。

東京都世田谷区に本社を置く株式会社ニッソウ<1444>もその一つ。不動産業界の業者を得意先とするBtoBのリフォーム業で、2018年9月にTPMに上場を果たした。

だが、ニッソウは2020年2月、上場する市場をTPMから名古屋証券取引所セントレックスに変更した。そこには、どのような意図があったのか。市場に株式を上場する側から、TPMとセントレックス、また他地域の証券市場の評価を探った。

法人顧客比率の高まりを受け、すべての営業活動をBtoBにシフト

約600社に上る各工事分野の専門施工会社との外注施工体制を築いていることが強み(ニッソウ本社)

ニッソウは1987年、東京都目黒区で「クリエイティブリフォームオフィス・マエダ」として創業した。翌1988年には資本金300万円で株式会社化。社名をニッソウとした。創業当初から知名度を高めることが重要と考えた前田浩社長は、新聞折込みや雑誌・交通広告などを都内の南部に集中させて展開した。1990年代にはTVCMも始めている。

関東地区での知名度アップが奏功し、特に法人顧客の比率が高まった。その状況を受け、前田氏はすべての営業活動をBtoBにシフトすることにした。個人のリフォーム依頼を受けるのではなく、不動産業者が持つ賃貸・転売物件の原状回復工事に特化した選択と集中の戦略だ。

「当社の得意先は不動産業者がすべて。ビジネスの武器はリフォームだけ。このように特化したセグメントのしかたが評価をいただいていると考えています」(前田浩社長)

首都圏を中心に約600社に上る各工事分野の専門施工会社との外注施工体制を築き、創業以来1900社以上の不動産会社と取引があり、年間1万件以上の工事を行っている実績が同社の強みである。得意先の99%が関東・首都圏にあり、あえて全国展開などのエリア拡大を目指さなかったこともセグメントの一つのあり方といえるだろう。

理に適ったTPMへの上場

資本金を増強し、組織の拡充を図ってきたニッソウ。世田谷区経堂に本社を移転したのは2006年のことだ。売り上げが10億円を突破したのは2015年。その頃から「上場」が知名度アップのためのより明確な目標となったのだろう。関東地区に複数の営業所を設け、受注拡大を図る。そして2018年9月、TPMに上場を果たした。

「上場の目的は資金調達ではなく、知名度や社員の士気の向上です。この目的は十分に果たせた。上場企業というステータスも得られたと考えています」(同)。

もともとTPMはプロ投資家の市場である。そのため、市場からの頻繁な資金調達が可能とはいえない。前田社長自身「他人の資本を入れることはまったく考えてこなかった」という。その点、同社の上場目的は、TPMという市場側の創設目的とも合致していた。前田社長いわく「当社にとって理に適った市場」であったようだ。