「横浜ライト工業」杭抜き日本一を標榜する“ハマのスグレモノ”|【東証PRO】 

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横浜みなとみらい界隈、新旧の建造物にはどんな杭が打たれているのか(写真はイメージです。中山/写真ac)

横浜ライト工業(横浜市保土ヶ谷区)<1452>は地中深くまで打ち込まれた杭を引き抜くことを専業とする。現社長の浜口伸一氏は創業者の子息、2代目である。

創業から2代にわたり着実に実績を伸ばし続け、2020年2月に東京プロマーケットに上場した。従業員は50人ほど。杭の引き抜きに特化した事業展開と小回りの良さを身上とする。

直近の業績は下記のとおりで、堅調に推移しているといってよい(売上高、経常利益の単位は百万円)。

2017/2期
2018/2期
2019/2期
2020/2期
2021/2期
売上高
1885
1810
2923
2448
1754
経常利益
233
11
208
198
39

杭抜き工事に特化が奏功、特許も相次ぎ取得

横浜ライト工業は1986年5月、横浜市戸塚区で現社長の父・芳一氏が杭打ちと山留の工事会社として設立した。杭打ち工事から杭抜き工事に徐々に事業の軸足を移し、2002年4月以降は名実ともに杭抜き工事の専業となった。杭抜き工事への一点集中戦略が2010年代に大きく花開いた。次々と国内特許を取得したのもこの時期だ(表を参照)。

2011年12月 埋設杭の引抜き方法、及び発泡水生成装置
2014年10月 地中に埋設された埋設杭の引抜き方法、及びこれに用いる削孔ケーシング構造
2017年7月 杭底堆積土掘削及び孔内攪拌方法及びこれに用いるロータリーテーブル装置

独自の工法と後処理で顧客からの信頼を高める

そもそも杭抜き工事には、どのような難しさがあるのか。

杭は建築や構造物の安定のために打ち込むが、その種類(太さ・長さ・形状・本数など)は建築や構造物の規模のほか、地盤の状況、建築関連法規の改正も含めた時代の変化・要請によって多岐にわたる。

その一方、いったん建てた建築や構造物はスクラップ&ビルド、すなわち壊して建て直すことも多く、その際には既存の建築や構造物の杭が新規に建てるための障害になってしまうこともある。さらに昨今は振動・騒音など環境への配慮も重要な視点となっている。

いわば見えない部分、しかも建物や構造物の撤去における杭の引き抜きで、いかに技術を発揮するか。ここが同社の出番である。一般的に地中障害撤去といわれているが、ここで同社では、上記のような特許を駆使した工法・技術によって地中の杭をスムーズに撤去しているわけだ。

同社が得意とするのは、CD工法(例えば、オールケーシング岩盤掘削工法。ケーシングを全周回転させることにより、岩盤や地中障害物を強力に堀削し、いわば杭を破壊しつつ撤去する工法)ではなく、そのまま引っ張り上げるフライヤー工法である。そのほうが周囲への振動や騒音が少なく、しかも工事を短期のうちに行うことができる。

なお、杭を引き抜いたところは周囲より地盤が軟弱になっている。その地盤を周囲と同程度に戻すのも、同社の技術の1つ。その埋め戻しでは最適な埋め戻し材を選び、かつ最適に攪拌し、杭を引き上げながら徐々に埋め戻していく技術も要求される。

単純に考えて高層大規模ビルなどの2mを超える直径、50mを超えるような長さの杭をどうやって引き抜き、もとの状態に戻すか。それができてしまうのが同社の技術力である。

同社ホームページによると、直径1mを超える杭抜きに対応できるのは全国で20社ほどはあるが、直径2.5m・長さ70m以上の杭を抜けるのは同社だけだという。その様子はYouTube(こちら)でも見ることができる。

普通はフェンスに囲われて見えない技術を垣間見ることができる。“ドボジョ(土木女子)”ならずとも、萌えてくるワンシーン。独自の工法に磨きをかけ、後処理も的確に行える点で、多くの顧客からの信頼を得て、引き合いが寄せられている。

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