2008年、プロ向け市場制度として東京証券取引所にTOKYO PRO Marketという新市場が生まれた。それから10年ほどの間に、いくつもの個性的な企業が上場を果たしてきた。東京・港区に本社を構えるC Channel<7691>の上場は2020年5月。まさに上場ホヤホヤの企業だ。その本業も斬新だが、資金調達力巧者ぶりにも注目が集まっている。 

創業者は元LINE社長の森川亮氏

C Channelはメディア事業、eコマース事業、インフルエンサーマーケティング事業などを手がける。社長は元LINE社長の森川亮氏。2015年4月に創業し、女性、特にF1層と呼ばれる20歳〜34歳の女性向けに「C CHANNEL(シーチャンネル)」「mama+(ママタス)」「mysta(マイスタ)」といったメディアを運営している。日本のみならず世界でサービスを展開するグローバル・ベンチャーといえる。

F1層を中心に月間3000万回以上、84万時間再生される「C CHANNEL」はネイティブ動画広告、純広告/アドネットワーク、イベント開催、サンプル販売、動画制作など主なメニュー。「C CHANNEL」に所属するクリッパーというインフルエンサーを活用した事業では自撮りレビュー動画投稿、商品モニター、イベント登壇、メディア出演などを提供している。

トランスコスモス、ソフトバンクなどが出資

C Channelは上場前から、大きな資金調達で注目を集めてきた。その一例がトランスコスモス<9715>との協業を視野に入れた2019年9月の9億円の資金調達。第三者割当増資で、引受先には企業向けITアウトソーシングサービスのセラクをはじめ、ナントCVC2号投資事業有限責任組合、博報堂DYメディアパートナーズ、ABCドリームベンチャーズ、価値共創ベンチャー2号有限責任事業組合、SBIインベストメント、VLI新ベンチャー育成投資事業組合が名を連ねる。ITアウトソーシングサービスを展開するトランスコスモスとは「次世代インフルエンサー発掘プロジェクト」を共同で発足させた。

そんなC ChannelがTOKYO PRO Marketに上場した。TOKYO PRO Marketは資格を持つプロ投資家のみが参加する市場である。他のマーケットに比べて上場が容易な一方で流動性が高いとはいえず、大きな資金調達も難しいとされている。上場のメリットとしては、上場企業として企業の評価が高まり、ストックオプションなどによる社員のモチベーション向上が期待されるといったことがある。

その点から見ると、多額の資金調達を行ってきたC Channelの上場は異例だが、どんな目的があり、勝算があったのか。発行者情報によると、C Channelは上場前の2018年、2019年は経常損失が続いていた。C Channelとしては、早急に資金調達を行うためというより、どれだけ注目を集めたとしても業歴は浅く、上場企業という信頼基盤を早期に獲得したいとする意向が強かったのではないかと考えられる。

この上場に筆頭株主として早速名乗りを上げたのがソフトバンク<9984>。上場前の2020年3月に7億円をソフトバンクなどから調達している。上場時の発行者情報によると、ソフトバンクは筆頭株主として株式の28.04%を保有。そのほか、創業者の森川亮氏がONE STEPという資産管理会社などを含めて20.7%、ベンチャーキャピタルのジャフコ<8595>が8.59%、取締役の三枝孝臣氏が7.24%、トランスコスモスが4.51%などとなっている。

また、2020年5月の大量保有報告書によると、新規保有分を含めた最近の株主比率はソフトバンク28.98%、ジャフコ8.88%、 ONE STEP21.42%、取締役の三枝氏が代表を務めるIWAI7.48%などとなっている。

既成メディアの枠をどう超えるのか

新規上場企業の資金調達力は、その企業の創業者や経営陣の経歴や人脈などを踏まえた注目度にもよるだろう。C Channelの創業者の森川氏は前述のとおり元LINE社長。大株主で取締役の三枝氏も日本テレビ出身者である。今後、既存メデイアの枠を超え、「C CHANNEL」発の新メディアをどう発展させていくのか注目される。

文:M&A Online編集部