「かっぱ寿司」や「大戸屋ごはん処」などを展開しているコロワイド<7616>が、およそ3年半ぶりに企業買収に乗り出した。
同社は2024年3月に病院や介護施設を中心とした給食受託事業を営むニフス(埼玉県川越市)と、その子会社のアミス(同)を子会社化する。
給食事業を拡充する取り組みの一環で、コロワイドが持つ調達機能や工場を活用して、ニフスの給食受託事業を伸ばすとともに、ニフスの嚥下食(飲み込みやすいように調整した食品)などのノウハウを取り入れたミールキットを開発し、給食事業者への販売を拡大する足がかりを作るのが狙いという。
コロワイドは「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト<7421>や、「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングス<2705>などを傘下に収めることで成長してきた。
ニフスとアミスはコロワイドの成長に貢献できるだろうか。
コロワイドが適時開示した資料には、ニフスとアミスの業績は記載されていない。帝国データバンクによると、ニフスの2023年3月期の売上高は前年度より5.53%少ない44億4000万円で、当期利益は同79.77%少ない1800万円に留まった。
前年の2022年3月期も5.86%の減収、19.09%の当期減益で、このところ業績は下降傾向にある。
子会社のアミスの2022年12月期の売上高は前年度より11.27%少ない15億7400万円で、当期利益は同92.30%少ない200万円となった。
同社も前年の2021年は5.13%の減収、63.38%の当期減益で、ニフス同様に業績は下降傾向にある。
ニフスは病院や介護施設を中心とした給食受託事業を展開しており、アミスが病院や介護施設を中心とした給食受託事業に加え、食材セットの販売や食事宅配などを手がけている。
両社はこれら施設でのオペレーションや嚥下食についてのノウハウを保有しており、コロワイドはこうした事業が同社の成長戦略に合致していると判断した。
コロワイドの調達機能や工場を活用して支援すれば、ニフス、アミス両社の業績が反転する可能性は低くはなさそうだ。
今回の企業買収は、2020年9月に大戸屋ホールディングスをTOB(株式公開買い付け)で子会社化して以来となる。
コロワイドは2019年に大戸屋の株式を創業家から取得し、大戸屋に食材の仕込みや加工を工場で行うセントラルキッチン方式の導入を提案したが、店内調理を行っていた大戸屋がこれに反発し、混乱した時期もあった。
また2014年にはカッパ・クリエイトをTOBで子会社化しており、こちらは、カッパ・クリエイトがTOBに賛同を表明したほか、筆頭株主の神明ホールディングもTOBへの応募を表明するなど、スムーズに進んだ。
このほかにもコロワイドは2012年に、焼き肉店「牛角」などを運営するレックス・ホールディングスを子会社化したほか、2016年にはハンバーガーチェーンの「FRESHNESS BURGER」事業を取得するなど、M&Aを積極的に展開してきた。
3年半ぶりのM&Aでコロワイドの業容が一段と拡大することは間違いない。給食事業を居酒屋やレストランに次ぐ将来の収益の柱に育てることはできるだろうか。
文:M&A Online
日本では“バンカメ”という愛称で呼ばれることも多いバンク・オブ・アメリカ。全米50州すべて、さらに世界35カ国以上で事業を展開する金融グループだ。