外資系金融機関を知るシリーズの第12回は金融立国・スイスが誇るUBSです。チューリッヒに本拠に置き、世界50カ国・地域以上で金融サービスを提供しています。その前身となる銀行が誕生したのは1860年代から1870年代のことです。現在のUBSは1998年にスイス・ユニオン銀行(旧UBS)とスイス銀行(旧SBC)の合併で発足しました。

スイス3大銀行のうち、スイス・ユニオン銀とスイス銀が合併

19世紀半ば、スイスの金融業は大きな転機を迎えました。きっかけは鉄道建設です。英国に端を発した鉄道建設ブームは欧州大陸に広がっていました。スイスは1848年に中央政府を持つ連邦制に移行したのを機に、鉄道建設などインフラ整備が本格化しました。これに伴い、資金供給の担い手として大銀行が登場したのでした。

スイス・ユニオン銀行の前身のウィンタートゥール銀行は1862年、スイス銀行の前身のバスラー銀行は1872年に生まれました。スイスの銀行といえば、プライベートバンキングと呼ばれる富裕層向けの取引を連想しがちですが、企業との取引を主体に商業銀行としてスタートしました。

スイスでは長らくスイス・ユニオン銀行、スイス銀行、クレディ・スイスが3大銀行を形成しましたが、このうちの2行が合併したのです。スイス・ユニオン銀行の略称であるUBSを社名とし、ロゴマークはスイス銀行の3つの鍵マーク(信用、安心、慎重さを示す)を引き継ぎました。

一躍世界トップクラスの金融グループに変ぼうを遂げたのは1990年代。デリバティブ専門会社の米オコナー&アソシエイツ、有力投資銀行の英エス・ジー・ウォーバーグ、米ディロン・リードを相次いで買収し、さらにUBS誕生後の2000年には米証券会社のペインウェバーと合併しました。

UBSは主力である投資銀行・証券業務、富裕層向けウェルス・マネジメント(プライベートバンキング)、資産運用業務をグローバルに展開していますが、スイス国内では商業銀行業務で強固な基盤を持ちます。

電照看板(東京・銀座)

日本には1960年代に進出

日本には1960年代に進出しました。現在、UBS証券、UBS銀行東京支店、UBSアセット・マネジメントの3社を通じて、法人・機関投資家、個人(富裕層)に金融サービスを手がけています。大阪、名古屋に出張所を置いています。

売り物の一つであるウェルス・マネジメントはUBS証券とUBS銀行東京支店が提供しています。預かり資産残高2億円超の個人を顧客とし、企業オーナーや資産家らの資産運用や事業承継をフルサポートしています。ライバルのクレディ・スイスも日本で2009年から同様の富裕層向けビジネスを展開していますが、UBSはこれに先んじています。

M&A仲介など投資銀行業務をはじめ、株式、債券、上場投資信託(ETF)はUBS証券が守備判範囲としています。

日本での主な歩み
1966 東京に駐在員事務所を開設
1971 スイス銀行がスイス系銀行で初めて東京に支店を開設
1972 スイス・.ユニオン銀行が東京支店を開設
1986 UBSフィリップス・アンド・ドリュー証券東京支店を開設
スイス銀証券東京支店を開設
UBS信託銀行を設立
1988 スイス・ユニオン銀行、東京証券取引所へ上場(2010年上場廃止)
1998 スイス・ユニオン銀行とスイス銀行が合併し、「UBS」が誕生
UBS銀行東京支店、長銀ウォーバーグ証券(外国法人)、UBS投信投資顧問、UBSブリンソン投資顧問、UBS信託銀行がそれぞれ営業開始
2000 UBS投信投資顧問とUBSブリンソン投資顧問が合併し、UBSアセット・マネジメントに社名変更
2003 長銀ウォーバーグ証券がUBS証券に社名変更
2005 UBS信託銀行が解散
2012 UBS証券が日本法人に移行