3.スマホ経済圏とキャッシュレス化の拡大

昨今話題のシェアリングサービスとして、代表格は配車アプリの「UBER」や空き部屋の貸出アプリの「Airbnb」、日本発ではスマホによるフリーマーケットである「メルカリ」が有名ですが、ビジネスモデル的には、スマホ上のアプリで、個人の空いたリソースを別の個人にマッチングすることがベースになっています。

個人間取引であるため、提供者・利用者相互の信頼性やセキュリティ、決済の担保が課題ですが、相互評価の仕組みを取り入れたり、支払もクレジットカードやその他電子マネーでキャッシュレスにより行うことでそれを可能にしています。

また法人の提供するサービスとしても、ECサイトを始め、音楽や動画配信、旅行、ゲーム、料理の出前等、消費者が生活に必要なあらゆるものが、徐々にスマホで提供されるようになり、スマホ経済圏が拡大しつつあります。それらも決済はクレジットやQRコード式アプリ等、キャッシュレスにより行われます。逆に言えば、スマホ経済圏におけるサービスは、キャッシュレス決済が大前提になっていると言えます。

一方のリアル店舗では、決済手段として日本では根強い現金の他、主にクレジットカードが使われてきましたが、複数のクレジットカードを持っている人でも、実際に使っているのは2~3枚だと思います。スマホ経済圏では、キャッシュレスの決済手段として、クレジットカード以外に様々な電子マネーが乱立して来ていますが、1人のユーザーとして対応できるのも通常は2~3種類が限度ではないか、と想定されます。

そうすると、いずれは数種類の電子決済に集約されるかもしれません。ユーザーとしては、どれかに1本化された方がいいでしょうし、その方が一気にキャッシュレス化が普及すると思います。スウェーデンは銀行が中心となり、Swishという電子決済の仕組を取り入れたところ、一気に普及し、世界一キャッシュレスが進んでいる国と言われているそうです。

しかし一方で、決済サービスを提供する企業にとっては、スマホ決済サービスは重要な収益源であるため、決済サービス提供企業としては、すでにサービスを始めた規格から、他社、あるいは国が決めた規格に合わせるのは、簡単には妥協できない話でもあります。

ここで普及のカギを握るのは、利便性とセキュリティ、低コストであること、だと思われます。決済の都度手続きが煩雑だと使ってもらえませんし、セキュリティに問題があれば見向きもされません。そして店側としては、導入コスト・ランニングコストが安くないと導入に踏み切れない事情もあります。

今後キャッシュレス化が進むことは間違いないですが、日本発の決済サービスが普及して行くのか、それとも実績のある米国、または中国の決済サービスが日本でも同様に普及して行くのか、これからの2,3年が勝負の年と考えられます。

そしてキャッシュレス化が進めば、リアル経済圏にある店舗も大きな恩恵を受けるはずです。例えば、従来小売店舗における問題として、レジや、ATM・夜間金庫に入金する際の盗難のリスク、それに備えるための警備会社や現金回収サービスのコスト、また毎回現金をカウントし、レジを締めることに係る人件費コスト、と言った、様々なコストがかかることが挙げられます。

今後キャッシュレスな決済サービスの普及とともに、今まで導入の障壁となっていた導入・ランニングコストが低減して行けば、キャッシュレス化のコストが現金を扱うことのコストを下回る時期が訪れ、そうなると、キャッシュレス化が一気に浸透し、小売店舗としては、現金管理やレジ締業務と言ったものから解放されることになります。特に人件費が増加傾向をたどる近年において、省力化は大きな課題です。

すでに米国、中国ではその先を一歩進んでいて、無人店舗も徐々に普及し始めて来ており、日本でも実験店舗を始めている企業が出てきているものの、ここでもキャッシュレス化が前提のため、キャッシュレス化が進まないと、無人店舗の普及の障害となりかねません。

なお、クレジットカードやスマホ決済では、大抵ポイント制度があり、利用額に応じてポイントがたまり、それを買い物に利用できるようになっています。このようなカスタマー・ロイヤルティ・プログラムについては、会計上は従来、将来使用される可能性のある未使用のポイント残高を「ポイント引当金」として引当計上していました。

これについては、2021年4月以降開始の事業年度から原則適用される「収益認識会計基準」においては、ポイント付与を、追加の財又はサービスを取得するオプションと捉え、そこから将来の履行義務が生じ、収益の計上を繰り延べることになります。ポイント制度を設けている企業にとっては、大きく影響すると言えます。

文:株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.088 2019.1.09)より転載