ネット社会のキャッシュレス化

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キャッシュレス決済の手段も増えている

2.スマホがキャッシュレス化を推し進める

日本は「現金大国」と揶揄されるほど現金好きな国民で、超低金利の中、タンス預金も増加していると聞きます。少し前のデータですが、BIS(国際決済銀行)が主要国の現金の流通残高を対名目GDP比率で比較したものによれば、日本の当該比率は2015年末時点で19.4%であり、ユーロ圏の10.6%、米国の7.9%、韓国の5.6%等と比べて、突出していることが如実に表れています。

それだけ、日本の治安の良さや、日本国の発行する紙幣の信用力が高いことの裏返しでもあると思います。一方で、キャッシュレスの決済手段の代表格である、クレジットカードの利用率が低いことを示すものでもあります。日本では、クレジットカードが使える場所は、比較的高額の商品やサービスを取り扱う店です。個人商店やファーストフード店では、カードが使えないお店が多く、仮に使えるとしても、金額の下限を設けていたり、カードによる支払を嫌がるお店も少なくありません。

その理由としてよく理由に上がるのは、クレジット決済用の端末の導入費用と、利用額に応じて支払う加盟店手数料率の高さです。これはお店の業態にもよるので一概には言えませんが、小売に比べて飲食店は高い傾向があるようです。

またカード会社によっても、加盟店手数料の料率は異なります。ただ最近は、スマホの普及とともに、モバイル決済が普及してきています。これは、お店のスマホやタブレットをPOS端末として、クレジットカードの読み取り機を付ける形式のもの、消費者にスマホアプリをダウンロードしてもらい、そこに会員IDを表示させて決済する形式のもの(消費者はクレジットカード情報等を登録しています)、FeliCa等のお財布携帯としての形式のもの等、様々なものが普及してきています。

また日本での電子マネーは、ここ10年くらいの間に、プリペイド式を中心とする交通系(Suicaやパスモ)、流通系(nanacoやWaon)を中心に普及して来てました。これらは日常生活で利用頻度の高い電車やコンビニ・スーパーでの利便性が高いこと、流通系はポイントが付くことから、一気に普及しました。但し、プリペイド式は上限金額が数万円であり、主に少額決済でしか利用されていないため、取引件数は多いものの、金額ベースではまだまだこれからと言えます。

さらにここに来て注目を浴びているのが、QRコードを使った決済方法です。仕組みとしては、お店はQRコードを印刷して置くだけで、あとは消費者が専用アプリでQRコードを読み込めば、決済が完了します。

店舗としては専用端末が不要で、またソフトバンクとヤフーが共同で手がけるQR決済アプリの「PayPay」やLINEが手掛ける「LINE Pay」は、最初の3年間の決済手数料を無料とすることで、早期の会員獲得を狙っています。

特に昨年末に話題となったのが、PayPayが行ったキャンペーンで、1回の支払毎に最大20%を、さらに抽選で40回に1回の確率で、支払い額の全額をキャッシュバックするとしたところ、2019年3月31日の終了日を待たず、開始からわずか10日で終了するほどの反響がありました。

昨年末には、みずほFGは2019年3月にQRコードを利用した、デジタル通貨を発行することを発表しています。また同じく銀行のサービスとして、ゆうちょ銀行もQRコードを使ったスマートフォン決済サービスとして「ゆうちょPay」を今年の2月から始めることとしており、銀行が直接サービスを提供することで、ユーザーとしての電子マネーに対する安心感は格段に高まる気がします。

また他の電子マネーで後払い式のものは、最終的にクレジット決済になるため、使い過ぎを嫌って後払いに抵抗のあったユーザーも、銀行口座からの引き落としになる銀行提供のQRコード式の決済サービスであれば、クレジットに慎重な日本人の活用が進みそうです。

またSuicaはカード式から、スマホのアプリとしてのモバイルSuicaへの移行を進めています。スマホが生活になくてはならないものとなってきた現在では、単なるコミュニケーション、エンタテイメントツールとしてだけでなく、お金のやり取りについても、スマホでの決済がカギを握っている状況です。

オンライン取引の決済はクレジットカードで行うのが主流でしたが、今後は更なるスマホの普及、様々なアプリの開発とともに、現金のやり取りはスマホ上で行うのが当たり前になりそうです。そこでの決済手段として、上記で紹介したものの他、「楽天ペイ」や「d払い」(docomo)等があり、さらに電子マネーへの参入企業が増えて行くと思います。

さらに世界を見れば、中国での電子マネーは「ウィチャットペイ」、「アリペイ」のシェアが大きく、いずれもQRコード式による利便性、導入コストの安さが、急速に普及した要因と言われています。アメリカではAppleの提供する「Apple pay」やAmazonによる「アマゾンペイ」も日本に進出しており、群雄割拠の様相となっています。

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