リート上場が都市型ホテル投資へと舵を切ることに

界 阿蘇
界 阿蘇(画像は決算説明資料より)

星野リゾートの再生物件の受け皿となった星野リゾート・リートですが、上場後は毛色が少しずつ変わります。収益予想がしやすく、安定的に稼げるシティホテルやビジネスホテルへの投資に軸を移したのです。

それもそのはず。旅館は繁忙期と閑散期の差が激しく、経営難易度が高くなります。その分、保有・運用する資産のリスクも高くなります。都市型の手堅いホテルであれば稼働率を基にした中長期予想がしやすく、一般の投資家から資金を調達しやすくなります。上場から2年後の2015年に、金沢市など4つの「ANAクラウンプラザホテル」を400億円で買収。2016年にハイアットリージェンシー大阪(大阪市)を160億円で買収しました。ビジネスホテルのザ・ビーやチサンインなども取得しています。

上場時150億円だった資産規模は、2020年4月末の段階で1617億円にまで膨らみました。物件の67.8%は直営以外の施設です。都市型ホテルを買収した賜物といえます。

しかしここにきて、現在32.2%の星野リゾートの運営物件を50%まで引き上げる計画を立てました。この目標がホテル旅館ファンド立ち上げに大きく関わっていると考えられます。

直営物件の保有比率を高める理由は、星野リゾートが運営する物件が新型コロナウイルスの影響がじわり浸透した2020年4月までの1年間でも堅調だったため。自社物件は稼働率の低下が3~7%に留まった一方、シティホテルのANAクラウンプラザは10%以上、ハイアットリージェンシー大阪に至っては20%以上も稼働率が落ちました。

【星野リゾートが運営する物件】

星のや(4物件) 2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 83.30% 88.90% 82.10%
平均客室単価75,785 74.623 74,696
リゾナーレ(2物件) 2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 80.20% 88.80% 81.80%
平均客室単価 42,350 42,863 44,107
界(8物件) 2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 77.40% 79.60% 76.50%
平均客室単価 39,530 39,260 39,203

【星野リゾート以外が運営する物件】

ANAクラウンプラザ(4物件) 2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 82.80% 82.90% 70.20%
平均客室単価 13,726 13,828 13,304
ハイアットリージェンシー大阪2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 77.40% 73.40% 52.30%
平均客室単価 15,597 15,602 16,223
ザ・ビー(4物件) 2017年5月~2018年4月 2018年5月~2019年4月 2019年5月~2020年4月
稼働率 90.40% 87.80% 75.40%
平均客室単価 9,353 9,703 9,158

※星野リゾート・リート「決算説明資料」より

卒業旅行シーズンと新型コロナウイルスの感染拡大が重なった星野リゾートが、稼働率の低下をここまで抑えたことは驚異的。星野ブランドの強さを見せつける結果となりました。