ジョンソン・エンド・ジョンソン(東京都千代田区)は、米ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置くグローバル企業の日本法人。日本では救急絆創膏の「バンドエイド」や綿棒、最近では使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」などで知られているが、医療機器では世界トップ、製薬でも同7位の巨大ヘルスケア企業である。
そのジョンソン・エンド・ジョンソンの関係会社ではないか?と思われがちなのがジョンソン(横浜市西区)。家庭用洗剤や清掃用ワックスなどを製造・販売する化学メーカーである。
実はこの両社、全くの無関係だ。ジョンソンの親会社の名称は「SC Johnson&Son, Inc. (SCジョンソン社)」。米国でも「まぎらわしい」と認知されているようで、ウィキペディア米国版の両社記事の冒頭には「Not to be confused with Johnson&Johnson(S. C. Johnson&Son)」すなわち「ジョンソン・エンド・ジョンソン(SCジョンソン社)と混同しないように」と、わざわざ明記している。
SCジョンソン社は米ウィスコンシン州ラシーンに本社を置き、「サランラップ」や「ジップロック」などのメーカーとして知られる…というと驚かれるかもしれない。それもそのはず、こうした有名商品は国内では日本法人のジョンソンではなく、最初に登場した旭化成の子会社である旭化成ホームプロダクツが販売しているからだ。ジョンソンは「カビキラー」をはじめとする洗剤や防虫剤の販売に特化している。このあたりは社名以上にややこしい。
両社の共通点は社名に創業者の名前を冠していること。ジョンソン・エンド・ジョンソンはバート・ウッド・ジョンソン、ジェームス・ウッド・ジョンソン、エドワード・ミード・ジョンソンの3兄弟が設立したのが社名の由来。一方、SCジョンソン社は、創業者であるサミュエル・カーティス・ジョンソン・シニア(Samuel Curtis Johnson, Sr.)の名を社名に採った。「SC」は「サミュエル・カーティス」の頭文字だ。
この両社、米国企業の日本法人であることや社名が似ていることから、非公式ながら交流もあるという。両社のコールセンターでは社名を取り違えて電話をかけて来た人に互いのコールセンターの電話番号を知らせるなど、ユーザー対応でも協力関係があるようだ。
文:M&A Online編集部