今日は桃の節句のひな祭り。女児がいる家庭では、ひな人形が飾られ、ひなあられやひし餅などと共に、子どもの健やかな成長を祈る。
そんなひな祭りに子どもの次に主役となるのは、やはり、ひな人形。日本人にとってはかなり身近な人形ではあるが、実は大きな勘違いがいくつかあるようだ。
正しいひな祭りを読者に送っていただくためにも、編集部が注目した3大勘違いを紹介しよう。
厚生労働省の人口動態調査によれば、2016(平成28)年の出生数は男子50万1880人、女子 47万5098人と、合計97万6978人。初の100万人割れという結果となった。そのうち、ひな人形商戦に関わってくる長女の出生数は、22万2537人。もちろん、この数字も減少傾向にある。
さらに追い打ちをかけるように、昨年12月に発表された2017(平成29)年の年間推計でも出生数は100万人以下に。ひな人形のメーカーにとっては、さぞかし大きな痛手ではないかと思いきや、「2018年 吉德のひな人形商戦・プレスリリース」によると、そうでもないらしい。
このプレスリリースによれば、購入スタイルや価値観の変化が後押しし、あくまでも市場は堅調とのこと。誕生年にこだわらずに、生まれてから2年、3年後に購入する家庭や、長女以外にも購入するケースが増えているという。
近年の住宅事情を考慮し、メーカー側も親王飾りや収納飾りなどのコンパクトなひな人形に注力し、選択肢を広げていることもひな人形離れを食い止めているのかもしれない。
2017年12月に一般社団法人日本人形協会が行った「ひな祭りに関する意識調査」(調査対象:ひな人形を所有する20~30代の未婚女性400人)によれば、「飾らずに保管している」という回答が68.8%、「今も毎年飾っている」という回答が28.7%という結果になった。確かに、ひな祭りは「子どものためのお祝い事」というイメージが強く、飾らなくなっていくのは自然な流れだ。
ところが、ひな人形の本来の意味を考えると、そうあるべきものではないらしい。日本人形協会によると、ひな人形は手で直接触れることで持ち主の厄を身代わりで受けてくれるもの。つまり、飾らなければそもそもの意味がないのである。押し入れや物置の奥にあるという人は、これを機に取り出してみることをお勧めする。
上と同じ日本人形協会による意識調査で、ひな人形の手放し方についても大きな勘違いがあることが判明した。半数以上の人が「自分の子どもに与える」と答えたのだ。「我が家では、ひな人形を代々受け継いでいる」と聞くと、伝統やものを大切にしていていい風習のように聞こえる。住宅事情や収納スペースのことも考えると、都市部では娘が何人いようと一家に一つというのが当然のようにも思える。しかし、ひな人形の由来を考えると、持ち主の厄を人形に移して厄払いすることから、実は1人につき1人形というのが正しい在り方。つまり、女児が生まれたら、その子のために新しいひな人形を用意するものなのだ。
ちなみに、ひな人形を飾らなくなったり、手放さなければならなくなったりした場合は、神社や寺で供養してもらうのが正しい手放し方とのこと。
もしかすると、この「1人1人形」というひな人形の“カラクリ”があるからこそ、ひな人形市場は少子化の波に負けずに堅調を維持しているのかもしれない。
文:M&A Online編集部