経営陣は、アクティビスト株主から連絡があり次第、IR・SRコンサルタント、証券代行業務に従事している信託銀行、証券会社、弁護士などのアドバイザーなどに相談するケースが多いが、まず、個々のアクティビスト株主のアプローチ方法などを把握する必要がある。
東京都立大学大学院経営学研究科の浅野敬志教授と同博士課程の井口益男氏は、2012年から2015年までの期間に活動した代表的なアクティビスト株主を以下のように分類している。
「非公開型」は会社に対し水面下で要求するアクティビスト株主を、「公開型」はその内容を公開することによって経営陣や他の株主にアピールし、要求を有効にするアクティビスト株主を、「長高型」は、①「アクティビスト株主の株券等保有割合が5%超になり、そのなかでも相対的により高い保有比率まで買い上がることで更に強い圧力を加えるアクティビスト株主と、②アクティビスト株主の中でも相対的に長期間保有することで更に強い圧力を加えるアクティビスト株主を、「長高以外型」は「長高型」以外のアクティビスト株主を、それぞれ指す。
もちろん、これは過去のアプローチに基づく分類であり、これが将来も継続するかは必ずしも明らかではなく、また、近年はこの他にも多様なアクティビスト株主が登場しているため、最新の情報を入手する必要がある。
次に、アクティビスト株主の提案内容を検討することになるが、その内容は概して、潜在的な「株式価値」を算定し、「株価」とのギャップを指摘した上で(「M&Aバリュエーションを考える サム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)分析」参照)、かかるギャップを埋めるためのものであるが、上記1のような「ペイアウト」や「売却」などの各種イベントを促すものが多い。そしてこれは、コーポレート・ファイナンス理論や企業価値評価(バリュエーション)のフレームワークに基づいているケースが多い(「バリュエーションを考える 平時におけるバリュエーションのすすめ」参照)。
そこで経営陣は、アドバイザーとともに、例えば、以下のような事項を検討することになる。