ガザ地区を実効支配する武装勢力ハマスとイスラエルとの戦闘はエスカレートするばかりだが、これにより懸念されていた石油価格の上昇は起こっていない。過去には1973年10月の第四次中東戦争を受けて石油価格が約4倍の11.65ドルに跳ね上がったのを皮切りに、イラン革命やイラン・イラク戦争、湾岸戦争など、中東で紛争が勃発するたびに石油価格は高騰を続けてきた。なぜ、今回の戦闘で石油価格は上昇していないのか?
国際石油価格の指標となるブレント原油の価格は9日の終値で1バレル=80.01ドルと、戦闘が始まる前日に当たる10月6日の終値同84.58ドルを下回っている。これは現時点で戦闘がガザ地区と周辺の石油を産出しない地域に限定されており、産油国へ拡大する懸念がないという地政学的リスクの低さがある。
ただ、石油は巨大な取引市場を持つ投機商品であり、現実に石油採掘・精製施設の破壊や輸送ルートの封鎖などが起こらなくとも、その可能性がわずかでもあれば価格は高騰するものだ。そうした動きが見えない背景には、石油供給に多少の地政学的リスクがあったとしても経済活動への影響が少ないとのコンセンサスがある。
中国の国境再開や規制緩和を受けて、中国企業が絡む合併・買収(M&A)や資金調達が増えるとの見方が浮上している。