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菓子・パン業界、値上げのおかげで「過去最高の好況」に

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過去最高の好況感に沸いている菓子・パン業界(写真はイメージ)

順調にコスト転嫁が進み、好況感が高まる

一方で、急激な円安と原材料・エネルギーの値上げでコストが急増。利益の低下やインフレ懸念での販売不振が懸念される。しかし、現時点では大きなマイナス材料にはなっていないようだ。理由は値上げによるコストの価格転嫁が進んでいること。

同業界のコスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は、2022年12月時点の43.6%から、2023年7月には54.0%に上昇している。コストが100円上昇した場合に54.0円を販売価格に上乗せできたことになり、1年足らずで10.4円ほど価格転嫁が進んだことになる。これは全産業の43.6%に比べても高い。

もう一つ懸念された値上がりによる消費の減退だが、総務省の家計調査によると、1世帯当たり(2人以上世帯)の2023年1~9月期の菓子・パンの支出金額は「菓子」が前年同期比5.8%増、「パン」が同 3.4%増と増加しており、値上がりによる買い控えは起こっていない。

帝国データバンクでは原材料の値上げラッシュが徐々に落ち着きつつあることから、菓子・パン業界の景況感は堅調に推移するとみている。今後は円安で急増するインバウンド需要の取り込みや、国内消費者の健康志向、プチ贅沢志向の高まり、出社率が回復したオフィス需要などへの対応が業績向上にカギになると指摘している。

文:M&A Online

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