パートナーに求めた条件は、ただプロレスが好きなのでなく、
DDTプロレスの特長を知り、ビジネスとして魅力を感じてくれること

--パートナーを募るうえで、どういった相手先が良いかなど、具体的に考えていらっしゃいましたか?

最初に考えたのが「相手先の経営者の方は、必ずしもプロレスが好きな方でなくて結構」ということでした。プロレス団体のパートナーに希望する条件としては意外に感じられるかもしれませんが、DDTの魅力はプロレスのファンの方よりも、“プロレスがビジネスになる”と判断していただける方のほうによく伝わるのではないかと考えていたのです。

というのも、プロレス団体というのは昔から分離・独立したり、売却されてオーナーが変わったり、M&A的なことが多くあって、必ずプロレス好きなオーナーに引き継がれている。それはもちろん良い部分もあるのですが、逆に良くない部分もあるわけです。

同じプロレス団体でも、オーナーや選手達の好きなプロレスの方向性が違うこともあります。それが軋轢となって、結局、また分離したりして落ち着かない。ですから、DDTプロレスの特長を知り、プロレスというビジネスに魅力を感じてもらえる企業さんが望ましい、という希望がありました。

パートナーとして我々に関心を示していただいた企業の中でも、特にサイバーエージェントさんは若い世代を中心に支持されているAbemaTVやアメブロなどのコンテンツを持たれていて、何よりネットビジネスに長けていらっしゃる。今後の展開という意味においては一番の可能性を感じました。そこで、サイバーエージェントさんに相談したところ、とんとんと話が進んでいったのです。

スピード契約となったが、トップ面談の感触も良く、
M&A後にどんなことができるのか、ワクワク感ばかりだった

--M&Aの交渉で感じられたことがあれば教えてください。

サイバーエージェントの藤田社長とのトップ面談が、僕は一番緊張しましたね。藤田社長は若手経営者の中では有名で、もちろん存じ上げてはいましたが、まったく面識のない方だったので、面談の前日ぐらいまで「本当に大丈夫か?服は何を着ていけばいいか?どんなことを話したらいいか?」と不安になっていました。リング上では全く緊張しないのに……。

DDTプロレスは理解していただくのに時間がかかるので、「路上プロレス」の動画などをスマホで再生しながら説明することがあるのですが、今回も藤田社長に動画をお見せしたりしました。そんな感じで正直、M&Aの手順というか、作法というか、いまひとつわかっていない状態のまま始まりました。最終契約まで相当なスピードで進んだそうです。次回のプロレスの大会で発表するから、そこから逆算してM&Aのスケジュールを組んだ感じです。そこからは大変でした。会社の状況を把握するために、これらの資料を全部そろえるようにと依頼され、これからはもうスピード勝負になりますということで、僕らもついていくのに必死でした。しかもサイバーエージェントさんはスピード感が速い。夏はイベントが多く、全国を回りながらの同時並行で大変でした。

社長でありながら現役のプロレスラーである高木社長。この日はスーツを着たままリングで戦った。

--どのような希望条件を挙げられたのですか?

僕の場合、経済的な条件というのは正直、二の次、三の次でした。どちらかというと、一般的知名度が高い企業に、という条件が第一条件でした。一般的な知名度があるプロレス団体といえば、新日本プロレスさんや全日本プロレスさんがあって、そこはすでにブランドがあるわけですが、DDTプロレスはその点が弱い。誰もが知っている企業のグループに入ることが、DDTプロレスが一般化していく上で一番重要なことだと思ったのです。