ブロックチェーンの発想である「自律」「分散」を、組織論に適用したのがDAOです。
最初、この発想を知ったときに「上司がいない会社!?愉快そうだけど、うまく回るの??そんなにビジネスは単純じゃないけど・・・・」と思いました。実際その通りで、現在でも製造業やサービス業など、既存型のビジネス活動をそのままDAOに移行したケースは知っている限りありません。それでもDAOの考え方が的外れというわけではなく、学ぶべき要素は多数あります。
世界で初めて設立されたDAOは、その名も「The DAO」というものです。これは2016年にドイツで作られたVCファンドのようなもので、世界中の投資家がトークン(参加権と思ってもらえれば大丈夫です)を購入、集めた資金を参加権者による投票で投資、一連の仕組みをブロックチェーン上に構築、というものでした。
The DAOは、トークンの法的解釈の争い(証券に当たるかどうか)や技術的な課題(セキュリティ事故の発生)により頓挫してしまいます。しかしながらDAOの発想自体がうまくいかずに頓挫したわけではなく、この着想に目をつけてDAOは増えていきます。
例えば、分散型の金融(簡単に言えば貸し手と借り手の自動的なマッチングビジネス)や、オークションといった分野でDAOの方式による事業が立ち上がっています。
DAOの適用の仕方自体はいまだ模索が続いており、完全な無人化、管理者レスの仕組みにまでは至っていないようです。それでも従来型の組織にかわる可能性への期待値は大きく、DAOによるビジネスを目指して元ZOZO代表取締役の前澤友作氏が立ち上げたコミュニティ「MZDAO」には、2022年8月の1次応募に当初想定の1万人を大きく超える22万人が応募し、3時間で応募が締め切られました。話題性、期待の大きさがうかがえます。