今月(2017年9月)、新型iPhoneやiOS等の発表がありました。この発表には顔認識やAR等、新技術の情報が含まれていましたが、これらの技術に実はM&A(企業買収)が関わっています。
今回はiPhone関連の企業買収の話題と、アプリの開発言語であるSwiftを紹介します。
今月リリースされたiOS11では、開発者が拡張現実(AR)アプリケーションを簡単に作成できるようになっています。
拡張現実アプリケーションの例としては、iPhoneのカメラ越しに覗くと床にキャラクターや家具が配置されている、というものがあります。お皿の上にケーキを写したり、床に絵本の世界を再現したりと楽しいアプリが多いので探してみてはいかがでしょうか。
これらARアプリの開発ツールとして発表されたARKitですが、これには2015年5月にAppleが買収したドイツの企業「Metaio」の技術が使われているのではないかと言われています。
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iPhone Xの新機能としては、3D顔認証の「Face ID」が発表されています。iPhone Xにはホームボタンが廃止されたため、従来の指紋認証機能の代わりとして顔認証機能が搭載されました。この3D顔認証機能を実現しているのも、Appleが買収して手に入れた技術です。
3D顔認証機能のハード面の技術は、数種のカメラとセンサーを組み合わせた「True Depthカメラ」という機能です。この開発に、Appleが2013年に買収したPrimeSense社の技術が使われていると言われています。
一方ソフト面はAIを使った顔認識技術が使われていますが、これもまたAppleが今年2月に買収したRealface社の技術と言われています。
AppleがiPhoneを進化させるために、様々な企業買収を行っていることがわかっていただけると思います。
上記の例以外でも、M&A OnlineではAppleによる買収事例について何度かご紹介してきました。こちらの記事では、2017年3月にWorkFlowというアプリの買収について触れています。
関連記事:https://maonline.jp/articles/venture-apple
このWorkFlowは、複数アプリを連携させることができるという無料アプリです。
https://itunes.apple.com/jp/app/workflow/id915249334?mt=8
このアプリを使うと、既存アプリを複数連携させて新しいアプリを作ることができます。連携の例として以下のようなものがあります。
「クリックボードの内容をDropBoxへ保存する」
「音楽を指定した時間で止める」
「現在時刻を自動取得してEvernoteへ送る」
「QRコードを読み込む」
他のユーザーが作ったレシピをダウンロードすることもできますし、それを自分の使いやすいように改良することもできます。日々のルーチンワークを自動化できそうですね。
WorkFlowの事例は、チームごとの買収でしたが、iPhoneアプリを他社に売却や譲渡することは可能です。Appleの開発者向けドキュメントにも「アプリケーションの譲渡と削除」の記述があります。
これは、iPhoneアプリの開発者がアプリの売却をする仕組みをAppleが提供しているとも言えます。
筆者も冗談半分にですが、「アプリを譲ってくれ」と言われたことがあります。アプリ開発者は売却によってお金を稼ぐという方法もあるのですね。