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【こっそり学ぶ】街角経済学「社会保険」について

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※画像は架空の保険証(イメージ)です

街角経済学 vol.2 社会保険(第2の税)について

皆様、こんにちは。ビズサプリの花房です。

先月(6月)は、1年間で一番株主総会の多い月でした。その中で、ソフトバンクグループの株主総会があり、昨年11月の記者発表から半年ぶりに孫社長が登壇して話題になりました。2年連続の最終赤字でもあり、株主からの株価低迷についての責任についての質問に対しては「2兆、3兆は誤差のうち」、と答えたそうで、相変わらずスケールの大きな方だと思いました。

孫社長は、創業当時から社員に対して、「豆腐のように、1丁(兆)、2丁(兆)と数えられる会社にしたい」と言っていたそうで、兆円単位を誤差と言える人はなかなかいないでしょう。

兆円単位の話としては、上場会社の財務数値や時価総額以外だと、巷では国家財政の話くらいではないでしょうか。日本の国家予算、令和5年度はいくらかご存じでしょうか?

ご存じの方は普段から政治に通じている方と思われますが、令和5年度の国家予算は114兆円です(なお、国債残高はその10倍近い1,097兆円あります)。このうち、社会保障に回っているのは約37兆円であり、国家予算の約3割に当たります。一方で、国全体で社会保障給付として使われている金額は134兆円あります。

国家予算での社会保障の財源は37兆円であるのに対して、社会保障給付として実際に使われている金額が134兆円だとすると、その差額の100兆円近い金額の財源はどうなっているのか?金額が巨額過ぎることもありますが、そもそも日本人は、給与所得者である限りは年末調整により納税が完結するため、納税の主体である意識が低く、結果、納税者として税の使い道に対する意識も低くなりがちと言われます。

そこで今回は、税収の使われ方と社会保険がどのように関連しているかについて、改めて考えてみたいと思います。

1.日本の社会保障費について

我々が病気になった時に医者にかかる際の医療費や公的年金、公的介護サービスに使われるのが社会保障給付費ですが、国としての社会給付の総額は、2023年度の予算ベースで134兆円あります。そのうち、国の一般会計予算から賄われるのが37兆円(全体の約3割)で、78兆円(全体の6割)は個人と事業主から徴収される社会保険料の負担になります(残り1割の負担は、地方自治体の一般財源)。

本来的には、社会保障費は個人と事業主が負担する社会保険料で賄われるのが理想ですが、「保険料のみでは負担が現役世代に集中してしまうため、税金や借金も充てています。このうちの多くは借金に頼っており、私たちの子や孫の世代に負担を先送りしている状況」(財務省ホームページより)となっています。借金に頼っているというのは、社会保障費の国費負担(一般会計予算)37兆円の財源が、税収(予算ベースで国家予算の6割)と国債(同約3割超)に裏付けられているためです。

少子高齢化の流れの中で、社会保障給付は長らく増加傾向にあります。物価上昇もあるので一概に比較はできませんが、約40年前の1980年の社会保障給付は25兆円だったものが、2023年は5倍以上の134兆円となっており、約20年前の2000年の78兆円と比較しても7割以上の増加となっています。

また、その構成も、1980年は年金が41%、医療費が43%であったのが、2000年は年金が52%、医療費が34%となり、2023年では年金が45%、医療費が31%、介護10%、子供・子育て7.5%と、総額は全てにおいて増加しているものの、構成割合としては相対的に年金の比率が上がり、医療費の比率は下がっています。

いずれにしても社会保障費は膨らんでいるのですが、税金が一般会計で処理されるのに対して、社会保険料は年金や健康保険、介護保険などそれぞれに分かれて特別会計で処理されるため、全体を把握しにくい構造となっています。

【次ページ】国民にとっての負担は税も社会保険も同じ

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