「コーポレートガバナンス・コードを『そもそも』から理解する(その2)」
今回は、コーポレートガバナンス・コードの「そもそも」の「その2」です。コードの中身について、お話をすることにします。
また上場していない大企業で有名なところでは、イケアやボッシュ、レゴは非上場です。また日本でも、YKK、竹中工務店、JCB等があり、サントリーの中核子会社とリクルートも長年非上場でしたが、この1年くらいの間に上場しています。
これくらいの規模・信用のある会社になってきますと、非上場だからと言って金融機関からの資金調達に困ることもなく、優秀な人材も集められるため、創業者利得を除けばそもそも上場のメリットは必要なくて、むしろ上場することの弊害や負担の方が大きいため、上場しないということかもしれません。
上場会社と非上場会社、あるいは同族でない企業と同族会社のどちらがいいか、という話は、置かれている環境や何を目的とするかによってメリットとデメリットの双方がありますから、明確な答えが存在するものではありません。
但し、よく言われる話として、同族企業はそうでない会社に比べて、長い時間軸で経営を考えられるという利点があります。将来の成長を見据えた投資や研究に資金を投下しても、すぐに成果が上がるとは限りません。しかし上場会社は四半期ごとに業績を投資家へ報告しなければならず、継続的な成長、すなわち売上や利益の対前年比での増加を期待され、市場からプレッシャーを受けます。
そのような中、売上や利益に直結しない投資/研究は、一次的に利益を圧迫することになりかねないので、本来行うべき投資や研究への支出を怠るかもしれないからです。そうすると、短期的に利益は出ても、長期的には新たな収益源が育たず、収益が先細りしてしまう恐れがあります。しかしその時には経営者は後退しているため、投資や研究費を削減した経営者は、何ら責任を負うことはありません。
特に最近はROEが脚光を浴びており、この指標を上げるためには利益を増やすか資本を(配当や自己株買いにより)減らすしかないので、より短期的な利益への志向に傾いてしまいます。
その点、株主の大部分が同族株主であってその考え方が1枚岩であれば、一次的な利益の減少や損失は、将来の成長、企業の存続のために必要なものとの理解がされれば、同族株主から受け入れられることになります。ましてや経営者が同族出身者であれば、サラリーマン株主よりも信頼されやすく、理解もしてもらいやすいでしょう。従って、リスクの高い分野へも挑戦しやすくなります。
今回は、コーポレートガバナンス・コードの「そもそも」の「その2」です。コードの中身について、お話をすることにします。