「コーポレートガバナンス・コードを『そもそも』から理解する(その2)」
今回は、コーポレートガバナンス・コードの「そもそも」の「その2」です。コードの中身について、お話をすることにします。
一般的に上場会社は株主が分散しているので同族ではなく、非上場会社は同族企業が多いというイメージがあると思いますが、後者は当たっている半面、前者は意外とそうでないこともあるようです。
非上場会社の場合は、そもそもが株式の譲渡が制限されているケースも多く、創業者の身内や一部の従業員、取引先で株主が固められており、同族企業であるケースが多いと思います。
中小企業庁の「我が国の中小企業の実態」(平成22年2月)によると、資本金1億円未満の中小企業に限れば、3人以下の株主とその身内で過半数を保有する同族会社は約97%であるそうです。
しかし上場会社については、思いの外、同族企業も多いようです。同族企業の定義、数字の取り方にもよるでしょうが、創業者の2親等以内を一族とし、一族の複数が「ベスト10以内の株主」または「役員がいる」の条件にあてはまる会社を同族企業と定義したところ、全上場企業の52.9%が同族企業とのことです(2015/9/9付 日経新聞電子版)。
トヨタやニトリといった、創業家の名前を冠した社名の企業は同族企業の可能性も多分にありそうです。しかし、上場して何十年も経っていると、社長が一族から排出されているとは限らず、株式も分散し、創業者の影響力はかなり薄れている気もしますが、実際は違っているようです。
そもそも同族企業の定義は色んな基準があるので単純比較はできないのですが、世界的にも大企業の同族会社というのは少なくないようです。
2014年6月24日の日経ビジネスオンラインの記事を抜粋しますと、
『米ハーバード大学のラファエル・ラポルタらが1999年に「ジャーナル・オブ・ファイナンス(JOF)」に発表した論文では、 世界27カ国の企業規模上位20社についてデータ分析を行い、「創業者一族が株式の20%以上を保有している企業」の比率は、 27カ国平均で約30%にもなることを明らかにしています。』
とあり、同族企業の大企業はグローバルに見ても高割合で存在するようです。
今回は、コーポレートガバナンス・コードの「そもそも」の「その2」です。コードの中身について、お話をすることにします。