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「コーポレートガバナンス・コードを『そもそも』から理解する(その2)」

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2. ハードローとソフトロー

 コーポレートガバナンス・コードは、法律ではなく、東証のルールとして導入されています。これは、東証のメンバーすなわち上場会社になりたい会社だけが遵守すればよいルールです。一方、法律の適用対象になれば、逃れることができず、その遵守は必須になります。

 法律はハードロー(hard law)、東証ルールのような法的拘束力のないものはソフトロー(soft law)と呼ばれます。コードはソフトローだから、コンプライ・オア・エクスプレインは、ソフトに適用するための手段だと、何となく考えがちです。

 実は、コンプライ・オア・エクスプレインの規定は、ハードローにもあります。会社法では、有価証券報告書提出会社が社外取締役を置いていない場合には、定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければなりません。この理由を説明することは簡単ではありませんが、エクスプレインすることができれば、コンプライしなくてもよいという規定が会社法にもあるのです。

3. コンプライ・オア・エクスプレインの対象範囲

 東証の上場規程では、上場会社はコードを実施しない場合には、その理由を説明するものとする、としています。しかし、マザーズとJASDAQ上場会社については、「新興企業向け市場を巡る国際的な動向及び我が国の新規産業育成の観点から」、コードのうち「基本原則」の部分だけが、説明の対象となっています。

 前回の記事「その1」でご紹介したように、コードは基本原則、原則、補充原則で構成されています。全部で73原則ありますが、基本原則は、まさに基本的な原則が記述されたもので、5原則しかありません。

 新聞で、独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきであると報じられました。これは原則4-8に記載されており、基本原則にはそのような記載はありません。そのため、マザーズとJASDAQ上場企業にはこのコードは適用されません。

 そしたら、マザーズとJASDAQ上場企業は、独立社外取締役の選任は不要かというとそうではありません。前述の会社法で社外取締役が最低1名いないと、置かない理由を説明することになるため、社外取締役を最低1名選任することが求められることになります(「社外独立」と「社外」はその要求事項が少し違います)。

 このように、会社法とコードの両方を読んでおかないと、最低線がどこかわからないことがあるので注意が必要です。

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