Svea Herbst-Bayliss
[ニューヨーク 10日 ロイター] - バークレイズのデータによると、2023年は全世界でのアクティビスト投資家(物言う株主)によるM&A(合併・買収)の要求が過去最高を記録した。ただ実際のM&Aは低調だった。
合併、スピンオフ(分離・独立)、身売りを含むM&Aは要求の49%を占めた。それまでの4年間は平均42%だった。
しかしディールロジックによると、昨年のM&Aは18%減の約3兆ドルと10年ぶりの低水準に落ち込んだ。
業界関係者は最近の記憶の中でも最も厳しい年の一つだったと指摘した。価格で折り合えなかったことや、金利が上昇して買収資金を調達することが難しくなったことが背景にある。
だがバークレイズの株主助言部門のグローバルヘッド、ジム・ロスマン氏は「市場でバリュエーションが低下し、アクティビスト投資家は魅力的なタイミングで投資する機会を得た」と指摘。アクティビストの要求は22年の235件に続き、23年も229件と非常に高い水準を維持したと述べた。
M&A以外にも取締役会の交代や、戦略・業務の変更、ガバナンスの改善などを求めたが、経営陣の交代は要求の10%にとどまった。
岸田文雄首相は29日、新しい資本主義実現会議であいさつし、企業経営者が事業撤退を決めた場合の退出支援について、M&A(企業の買収・合併)を含めて多面的な検討を行うと語った。