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【M&A仕訳】事業譲渡(連結会計編)

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連結仕訳にはどのような影響がある?

連結会計上の仕訳は買い手と売り手が同じ企業グループに属するかどうかで異なります。

・買い手と売り手が同じ企業グループに属しない場合

買い手と売り手が同じグループ会社でない場合、買い手あるいは売り手が含まれる企業グループの連結決算書を作成する際に事業譲渡に関する仕訳は特に必要となりません。つまり、単体の決算書で行われた会計処理がそのまま連結決算書に取り込まれることになります。

<連結会計上の仕訳>

なし

・買い手と売り手が同じ企業グループに属する場合

買い手と売り手が親子会社や兄弟会社のような関係にある場合、買い手と売り手との間でなされた事業譲渡は「共通支配下の取引等」と呼ばれます。この場合、そもそも買い手の単体決算書において諸資産や諸負債を簿価のまま受け入れます。

つまり、上述の<買い手の会計処理>のように諸資産を時価150で受け入れるのではなく、簿価100として受け入れます。その結果、のれんの金額も下記仕訳のように60となります。

<買い手の会計処理―「共通支配下の取引等」に該当する場合―>

(諸資産)100

(現金預金)120

(のれん)60

(諸負債)40

その上で、事業譲渡はグループ会社間で行われたものであるため、連結決算書上はなかったものとされます。具体的な処理としてはグループ各社の単体の決算書を合算した後に下記の消去仕訳を入れます。

<連結会計上の仕訳>

(移転損益)60

(のれん)60

この連結消去仕訳を入れることにより、単体決算上で発生した「移転損益」や「のれん」は消去されるとともに、事業譲渡された諸資産や諸負債は、当初の決算書に掲載されていたのと同様、簿価のまま連結決算書に計上されることになります。

以上のように、連結会計上は事業譲渡がグループ会社間で行われたものかどうかで処理が異なってきます。本稿では税効果会計(繰延税金資産などの計上)や消費税などの細かい処理については割愛しましたが、まずは事業譲渡にかかる連結仕訳の基本的な仕組みを理解していただければと思います。

文:北川ワタル

全体像 株式取得 事業譲渡 株式交換 株式移転 合併 会社分割 第三者割当増資
個別会計 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回
連結会計 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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