表参道の土地を半額近くでたたき売りして手にしたキンプトン

ストリングスホテル東京
婚礼にも力を入れるストリングスホテル東京

ツカダ・グローバルホールディングは「ベストブライダル」の名で親しまれています。ゲストハウスを全国19か所、57店舗を展開。その他、総合式場やレストランなどを運営しています。そして4つのホテルを運営しているのです。「インターコンチネンタル東京ベイ(330室)」「ストリングスホテル東京インターコンチネンタル(206室)」「ストリングスホテル名古屋(126室)」「サーウィンストンホテル(77室)」です。

同社は2011年に竹芝のインターコンチネンタルの経営権を取得しました。そのときの市場や業界関係者の反応は「おいおい、正気かよ」という冷めたものでした。理由は2つです。

  • ①インターコンチネンタルホテル東京ベイがあまりにもイケてなかった
  • ②ブライダル企業がシティホテルなど運営できるわけがない

        

インターコンチネンタル東京ベイは、日本がバブル期に沸いていた1980年代後半に計画されたホテル。オープンしたのがバブル崩壊後の1995年です。誕生のタイミングは悪いものでした。シティホテルはバブル期に隆盛を極め、崩壊後は国際的なラグジュアリーブランドホテルか、宿泊特化型のビジネスホテルに顧客を奪われていたのです。シティホテルは古臭く、中途半端なイメージがついていました。一言で表現すると、イケていないのです。

それは数字にも表れています。ツカダ・グローバルホールディング(当時:ベストブライダル)は、2011年1月に同ホテルを運営していたホスピタリティ・ネットワークを株式譲渡によりM&Aしました。そのときのホスピタリティ・ネットワークの財務状況がこんな感じ。

流動資産8億3400万円流動負債33億2900万円
固定資産32億3000万円固定負債19億3800万円
資産合計40億6500万円負債合計52億6700万円

※ツカダ・グローバルホールディング第17期有価証券報告書より

流動比率はなんと25%。イケていないですね。ベストブライダルは、負債となる12億300万円ほどをのれんとして計上しました。この赤字ホテルをブライダル企業が立て直すことなどできるはずがない。その見方が大半だったのです。

ところが、2年後に黒字化させることに成功したのです。同社はロビーや宴会場、客室などを数十億円を投じて徹底的にリニューアル。東京のシティホテルの客室稼働率はおよそ80%ですが、インターコンチネンタル東京ベイは90%以上の稼働に成功しました。

勢いにのったツカダ・グローバルホールディングは、2013年に品川のストリングスホテル東京の経営権を取得します。ホテル再生企業として頭角を現した瞬間でした。

同社がホテル運営に本気を出したことがうかがえるエピソードがあります。

2014年11月にゲストハウス出店を目的として、表参道にある日銀寮の跡地をおよそ60億円で買収しました。表参道は結婚式場の聖地。数多くのブライダル企業が旗艦店を出店しているエリアです。しかも、取得した土地はラフォーレの裏側あたりに位置し、明治神宮前から徒歩1分ほどという好立地でした。しかし、この土地を手放す決断をするのです。しかも売却額は30億円ほど(第24期第2四半期報告書より)とほぼ半額。結婚式場の好条件となる表参道のプロジェクトを諦め、ブライダルにはやや不向きな新宿エリアでのホテル事業を選びました。同社はキンプトンを成功させ、シティホテル再生事業から、ブティックホテル出店事業へと活動の幅を広げるのです。

2020年のオープンが楽しみなホテルの一つです。

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