テックビューロ、顧客が承認しないと仮想通貨を返還できない可能性も
テックビューロは「Zaif」をフィスコへ事業譲渡を予定しており、譲渡後に仮想通貨交換業の登録を廃止し解散する。譲渡期限までに顧客が承認しない場合、仮想通貨の返還が不能になるおそれがあるという。
三井住友フィナンシャルグループが11月20日に、東京大学に「ブロックチェーンイノベーション寄付講座」を開講すると発表した。起業を目指す学生を対象に、ブロックチェーン技術と起業や経営のノウハウを学べる場を提供し、ビジネスと親和性の高い汎用パブリックチェーンを開発するのが狙いだ。
三井住友フィナンシャルグループのほかグッドラックスリーやジェイ・エス・エスなど6社が共同で、9000万円を寄付し、2018年11月から2021年10月末まで講座を開講する。
さらに国税庁は仮想通貨の所得に関して納税者が適正に納税できるように国税庁に問い合せのあった事項をまとめた、よくある質問集「仮想通貨関係FAQ」を11月21日にホームぺーに掲載した。
同時に納税者が年間取引報告書の内容などを基に入力すると、申告に必要な所得金額などが自動計算される「仮想通貨の計算書」も公開した。納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しするのが狙いで、申告が無くても問題があると認められる場合は是正を促し、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでいくという。
大学での講座開講や納税のよくある質問集の公開などからは、仮想通貨がどんどん身近になりつつあることが分かる。日本政府は2018年3月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議で、日本は仮想通貨交換業に係る規制を先行実施している国として「仮想通貨交換業について法制度が未整備の国は、速やかに法整備を進めることが必要である」などの主張を行った。
ここからは日本政府には仮想通貨の安定化に、世界に先駆けて取り組んでいるとの自負がうかがえる。2019年も国の施策に沿った仮想通貨安定化の動きが一層鮮明になりそうだ。
2018年後半の仮想通貨を巡る動き
日付 | 内容 |
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8月2日 | 日本仮想通貨交換業協会が認定資金決済事業者協会としての認定を金融庁に申請 |
8月10日 | 金融庁が仮想通貨交換業者の検査結果をとりまとめ |
8月20日 | SBIホールディングスが仮想通貨交換業のみなし業者である「ラストルーツ」を支援 |
9月1日 | LINEがICOを伴わない仮想通貨「LINK」を発行 |
9月1日 | 楽天が仮想通貨交換業の最後のみなし業者である「みんなのビットコイン」を買収 |
9月12日 | 日本仮想通貨交換業協会が自主規制案を公表 |
9月12日 | 金融庁が仮想通貨交換業に新規参入意向の企業が160社ほどであることを公表 |
9月18日 | テックビューロが運営する仮想通貨取引所Zaifから67億円分の仮想通貨が不正流出 |
9月25日 | 金融庁がテックビューロに業務改善命令 |
10月10日 | フィスコ仮想通貨取引所がテックビューロの事業を譲受 |
10月24日 | 日本仮想通貨交換業協会が認定資金決済事業者協会として、金融庁の認定を取得 |
11月20日 | 三井住友フィナンシャルグループが東京大学にブロックチェーンの寄付講座を設立 |
11月21日 | 国税庁が仮想通貨取引に関する所得を簡単に計算ができる方法などを公表 |
11月22日 | テックビューロが仮想通貨取引所Zaifが営業を終了、フィスコ仮想通貨取引所が継承 |
文:M&A Online編集部
テックビューロは「Zaif」をフィスコへ事業譲渡を予定しており、譲渡後に仮想通貨交換業の登録を廃止し解散する。譲渡期限までに顧客が承認しない場合、仮想通貨の返還が不能になるおそれがあるという。
仮想通貨交換業者に追い風が吹き始めた。金融庁による立ち入り検査や行政処分などが一段落し、新たな仮想通貨交換業者の登録作業が動き出したためだ。日本の取り組みが世界から注目を集めそうだ。