ジョナサン元社員が語る~すかいらーく吸収合併の舞台裏(下)

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マック流でジョナサンを再建

 「ベインの方々は非常にジョナサンに好意的でした。すかいらーく会長に就任したラルフさんは米マクドナルドで社長を務めたこともある人物です。ラルフさんはじめ、各部門にマック出身の方々が多く、ジョナサンブランドへの関心と援護が始まりました。ジョナサンはもともと店員をクルーと呼ぶなど、マック流の経営を取り入れており、相性もよかったのではないでしょうか

 本社のマーケティング部隊がフランス政府公認のフォアグラを使った「フレンチフォアグラ&ハンバーグ」を投入するとこれが大ヒット。ジョナサンの業績は回復に転じた。2013年の売り上げは前年を上回る成績を収め、2014年も目標を達成。すかいらーくは2014年10月、東京証券取引所第1部に再上場した。外部の投資家からは大成功に思えるが、それでもAさんはジョナサンの吸収合併に対して複雑な思いを抱いている。

ベインの傘下でジョナサンへの投資が始まり、業績回復につながった

 「世界一のファミリーレストランチェーン会社の傘下に入ったことをいいと思っている社員もいると思います。しかし長年、ジョナサンにいた立場からすると、自分たちが本当にやりたいと思うことが見つけにくい職場になっているのではないかと心配します。例えば昔のジョナサンでは社員の独立を応援するため、フランチャイズチェーン(FC)の運営に社員が応募できましたが、今ではFCの新規募集はやっていないようです」

 一方で、現場を重視するジョナサンの手法が認められ、すかいらーくの経営に取り入れられたこともあるとAさんは言う。

 「ジョナサンでは、社員がやったことに対して会社がきちんと認めてくれる風土がありました。ジョナサンでは優秀なアルバイトやパート従業員、優秀なマネージャーや店舗の表彰を毎年行っていました。店舗や従業員全員が目標を持ち、ジョナサン全体のモチベーションを支えていました」 

 「また、横川竟さんがジョナサンの社長時代の頃、お店を視察されると黄色い便箋にメッセージを入れ、マネージャーに置いていきました。私も受け取ったことがありますが、今でも宝物です。パート・アルバイトの表彰制度はその後、すかいらーくも導入しました。今も続いているといいのですが…」

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