menu
Social media

ビジネス

M&Aが招いたクライシス! 買収後に人材流出。組織崩壊した2つの失敗例

Cover c9e99344 cd45 488f be5b 2b68608fbff0
※画像はイメージです

M&Aによる人材の流出。経営陣にとって最も恐ろしいのは、キーパーソンの退職ではない。雪崩のように起こる“普通に貢献していた社員”の流出にある。買収後の人材流出による組織崩壊を食い止めるにはどうすればいいのか?海外M&A人事に詳しい森範子氏が、統合プロセスの失敗例から学ぶヒントを語る。

買収後に社員が流出。組織崩壊を招いた2つの失敗例

 買収によって人材が流出して組織が崩壊するということは、それほど頻繁に起こることではない。社員は、まずは様子見をするものだ。人材流出が起こるとすれば、買収後に確実に自分のポジションがなくなる幹部社員が辞めるケース(自分のチームを連れていくことも)と、競合会社がチームごと引き抜くケースくらい。この2つのようにキーパーソンが関わるケースは、流出の恐れがある対象者を特定しやすく、比較的対策しやすい。買収後の処遇を確約したり、退職時の罰則を強化・遵守したりすることで防ぐことができるからだ。

 一方、深刻なのは、キーパーソンとまではいかないが普通に貢献していた中堅社員が買収後半年以上たってから次々に辞めていく状態である。このケースは統合プロセスの失敗が招いた組織崩壊だ。実際の事例を取り上げ、統合プロセスの問題点を示してみたい。

事例1 経営不振に陥った大手企業を買収した救済型M&A

  ある新興企業A社が自社の川下事業に参入するため、経営不振に陥った大手企業B社を買収した、救済型M&Aの失敗例から見てみよう。

 買収会社のA社は、被買収会社であるB社の事業に魅力を感じ、自社の事業とのシナジー効果を期待してM&Aを決断した。しかしB社の帰属意識が強い企業風土に危機感を抱いていたため、統合プロセスではB社社員に経営不振の原因を理解させるためのメッセージビデオを作製したり、管理職をいったん全員解任したりしてから再評価の下に再配置するなど、過去との決別に力点を置いた手法を取った。そうしなければ、自社の伝統に固執してドラスチックな再生に踏み出せないと考えたからだ。

 しかし、再生の鍵となる事業のノウハウをA社は持っておらず、現場のコントロールが効かないので中途採用に頼ることとなる。そうした状況下で月日は流れ、買収後3年の時点で、元B社の管理職ポストの8割が離職、中堅手前30代の若手も離職率が3割に達した。B社は地元の有名校の就職先だったが、A社買収後の組織の混乱が広く知られることになり、新卒の採用も難しくなってしまった。事業の方向が定まらぬままさらに時がたち、最終的には買収したB社本来の事業が採算ラインに乗るまで縮小され、新規事業は散発的に対策が取られた後、空中分解となってしまった。

キャリア・ライフ

NEXT STORY

東京商工リサーチ「倒産月報」に見る 企業を取り巻く環境の変化(後編)

東京商工リサーチ「倒産月報」に見る 企業を取り巻く環境の変化(後編)

調査会社の東京商工リサーチは2016年4月、全国の支社店がまとめた地区ごとの倒産集計を取りまとめて分析した「2015年度(15年4月-16年3月)全国企業倒産状況」を発表した。同社、情報本部情報部課長の増田和史氏に企業を取り巻く環境の変化について解説してもらった。


注目の記事

Thumb 360806d3 5891 4010 8d81 e5ebbe1c4544

【ビジョナリーHD】「視界不良」のメガネスーパーが復活した理由

経営危機のどん底からよみがえった「メガネスーパー」。2017年に持株会社制へ移行し、「ビジョナリーホールディングス」として新たな歴史を刻み始めている。投資ファンドによる再建を果たした同社は、M&Aで新分野を開拓し、次なる飛躍を果たそうとしている

Thumb ec47f788 1259 4d83 bdd8 8407d10e0e92
Thumb 5535fbd2 d91a 4fbd a0be 6bc68475be6d
Thumb fc3e0390 342b 4215 a82c 567609f5a344