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M&Aで生き残る社員になるための3つのスキル

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職場が買収された。M&Aが盛んに行われている現在、多くの人の身に起こり得ることである。特に外資系企業に買われた場合、組織改編などによる変化は激しく、対応していかなければならない。

買収後も生き残り、さらには新組織で求められる人材になるためには、どのようなスキルが必要なのだろうか。

職場でM&Aが起こったら?「生き残る社員」になるための3つのスキル

 企業買収が頻繁に行われる時代。国内企業同士では対等合併のイメージが強いが、実質的には強者が弱者を統合することが多い。外資系企業が買収側になるクロスボーダーM&Aでは、この関係はより明確である。本稿では、被買収企業の社員が、買収後を生き残る上で必須の能力・スキルを紹介する。

1.複雑なレポートラインを処理する能力

 買収後の組織で最も注意が必要なのは、レポートラインが複雑化する点。例えば、救済型M&Aでは人事異動と組織改編が行われるが、買収会社からの新任幹部着任後も従前の幹部が残る場合がある。クロスボーダーM&Aでは日本という地域軸に加えて、営業、製造、マーケティングなど機能軸のレポートラインができる。また、プロジェクトチームが新たにつくられることも多い。

 そうした中で公式・非公式のホウレンソウ(報告・連絡・相談)やマトリクス的調整を行う能力は重要となる。買収会社が現場の状況を把握し組織の隅々まで方針を浸透させていく上で、こうしたレポーティング能力がある人は重宝される。

2.新会社の戦略の中に自分を位置付け直す能力

 買収後の組織改編により、自分の責任権限範囲が変わることがある。例えば、クロスボーダーM&Aでは、日本は一つの地域にすぎなくなり、本社社員として重要事項を計画・立案・決定する立場から、決められた戦略を実行する立場へと変わる。

 そのとき、日本の商習慣の特殊性を主張して権限を守ろうとする人が多い。競合同士のM&Aでは顧客情報や開発計画での協調が特に難しいが、買収後 の新組織で自分を生かしたいなら、自らが携わる事業や仕事を新会社の戦略の中で位置付け直し、適切な行動を取る能力が不可欠である。

3.リーダーシップのスタイルを調整する能力

 上記1、2とも関係するが、買収後の統合プロセスには強いリーダーシップが必要になる。リーダーシップには課題の解決と職場の人間関係を潤滑にするという2つの側面があるが、買収後の環境変化を乗り切るには課題解決スキルがより重要である。

 なぜなら統合プロセスにおいては、方針・目標・タイムテーブルをトップダウンで示し、計画の進捗をPDCAできっちり管理する課題解決型のリーダーシップを発揮しなければならない場面が増えるからだ。人間関係を潤滑にするタイプの人は、リーダーシップのスタイルを調整できることが重要だ。

 以上にあげた3つの能力・特徴は、実は環境変化への適応力と言い換えることができる。進化論でいうように、最強の者が生き残るのではなく、環境に適合する者が生き残るのである。自分には人に負けない技能や知識があるから、今の会社で優秀だから大丈夫、と考えるのではなく、環境の変化を冷静に見極めて、自分を変えていく、そのための柔軟性と選択肢をもつことが大切だ。

文:オフィス・グローバルナビゲーター 森 範子/M&A Online編集部

森 範子

銀行系シンクタンク、外資系コンサルティング会社、日系メーカーの人事部長を経て、現在、オフィス・グローバルナビゲーター代表。海外人事に関するコンサルティングを行う。
論文等
・銀行型企業再生の死角と真の企業価値向上(2008年)
・M&Aの組織・人材デューデリジェンスと"人財"価値向上策(07年)
・「内部統制」で求められる人事部門の役割--「J-SOX」の基礎知識と具体的な対応策(07年)  
・Viewpoint 企業再編を巡る人事上の課題--合併等に伴う人事問題チェックポイント(02年) 


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