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新規上場会社数の減少の理由(わけ)

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3.再上場の審査も強化

このほか別の観点から、上場審査が強化されていることが最近の報道で明らかになりました。それはMBO後の再上場の審査強化です。上記の記事の翌日の12月2日付で日経新聞に「日本取引所、再上場企業の審査強化」という記事が掲載されました。

投資ファンドが上場会社の株式の大部分を買い取って上場廃止し、その後その会社が再上場するという事例は、これまでもありました。例えば、スカイラークは、業績が悪化したことから2006年9月に上場廃止して野村プリンシパルファンアンス(NPF)などの傘下に入りました。その後業績が回復せず、2011年秋にはベインキャピタルが買収し、2014年8月に再上場したのです。

このように業績が悪くなった上場会社にファンドが入って上場廃止するケースは雪国まいたけ(これもベインキャピタルが投資しました)など、数が増えてきました。ファンドとしては、将来EXIT(株式売却)して株式の売却益を得るために投資しているのですから、会社の売却か再上場を目指すことになります。そのためには業績回復が必須となります。

お金を出すだけでなく、経営に手を入れて業績回復させる努力をするわけですから、ファンドとしては、それなりの見返りがあって然るべきです。しかし、一般株主から見たら、業績が悪化して株価が下がった時に上場廃止され、再上場したら高い株価になっている、ということでは、株式を持ち続けて儲ける機会を失うということになってしまいます。当然ながら、非上場の期間は業績の開示もされません。

業績が悪くなったタイミングで、ファンドが経営者と組んで、意図を持って上場廃止して再上場で儲けるということだと、一般株主の利益を害することになってしまいます。このようなことがないかについて、東証はしっかり時間をかけて審査しますよ、ということだと考えられます。

文:株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.043 2016.12.21)より転載

関連リンク 「親子上場の問題(その1)」

久保 惠一

学歴:1976年 大阪大学経済学部卒業

職歴:大学在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツに入社。カナダバンクーバーの提携先会計事務所で実務経験。大手メーカーや銀行などの会計監査と株式上場支援を経験。監査法人内でリスクコンサルティング事業を立ち上げ、15名から450名の組織に拡大した。 監査法人トーマツのボードメンバー、デロイトトーマツリスクサービス株式会社代表取締役社長、トーマツ企業リスク研究所所長、情報テクノロジー本部長を歴任。石油公団資産評価・整理検討小委員会、東京電力点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会、総合資源エネルギー調査会石油部会、原子力施設安全情報申告調査委員会などの政府委員会に参加。大手信販会社総会屋利益供与事件、信用情報機関の個人情報漏洩事件、東京2020オリンピック・パラリンピック招致に関わる海外支払の調査に関与。 元中央大学大学院客員教授

資格:•公認会計士•カナダ(ブリティッシュコロンビア州)勅許会計士

主な著書:•『東芝事件総決算』(単著、日本経済新聞社)•『水リスク−大不足時代を勝ち抜く企業戦略』(編著、日本経済新聞出版社)•『リスクインテリジェンス・カンパニー』(編著、日本経済新聞社)•『内部統制報告実務詳解』(編著、商事法務)


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