3.新設分割・分社型の会計処理

新設分割・分社型の場合、完全子会社が新たに設立されることとなり、分割後の親子いずれの会社も親会社の株主が継続して支配しています。したがって、共通支配下の取引に該当します。
よって、分離元企業においては、移転する資産・負債を簿価で消滅させ、差額を子会社株式に計上します。
分離先企業においては、分離元企業から受け入れる資産・負債を分離元企業が計上していた適切な簿価で受け入れます。増加する純資産は原則として資本金及び資本剰余金となりますが、例外処理として親会社の内訳を比例的に引き継ぐことが容認されています。
分離元企業の株主は、取引当事者でないため仕訳なしとなります。分離先企業の株主は、分離元企業そのものですので、別途仕訳は不要です。

(設例1)
A社は2つの事業部を有しているが、それぞれの事業が分社化に値する程度に成長したこと、部門別会計の精度を高めより適切な経営判断を行いたいことなどから、HD体制に移行することを決定し、分社型新設会社分割によりB社、C社を設立することとした。
会社分割前のA社の事業部別貸借対照表は以下のとおりである。会社分割にあたり、各事業部の資産・負債を移転し、純資産の内訳はA社の比率を引き継ぐものとする。

3-1.A社(分離元企業)の仕訳

会社分割の前後で、A、B、C社すべてにおいて最終的支配者はA社株主であることに変わりがありませんので、共通支配下の取引となります。よって、A社はB社・C社に切り出す資産・負債の簿価を減少させ、貸借差額を子会社株式に振り替えます。

3-2.B社・C社(分離先企業)の仕訳

共通支配下の取引であるため、受け入れる資産・負債はA社の適正な簿価を引き継ぎます。純資産は、文中に指定の通り、A社の構成比を引き継ぎます。

3-3.A社株主(分離元企業株主)の仕訳

A社株主は取引当事者ではないため、仕訳なしとなります。

仕訳なし

3-4.B社・C社株主(分離先企業株主)の仕訳

B社・C社株主はA社であるため、すでに①の仕訳で完結しています。

仕訳不要