続きまして、A氏と国税の主張です。
A氏の主張
「財産評価基本通達にも規定がないDCF法を使うのはおかしい。DCF法は将来要素があるので不確実性が高い。それに、国税が言っている評価額は高すぎる」
「DCF法による評価は、一般的には会社が策定しているFCF(フリーキャッシュフロー)に基づき算定される。事業計画を提出する機会も与えられずに一方的に評価されるのはおかしい」
「本件DCF法による評価が採用なければ、そもそも、Aが国税徴収法39条に規定する“受けた利益”自体が存在しないのだから、Aに第二次納税義務が無い。」
国税の主張
「徴収法39条の“受けた利益”は客観的価値であるべき。本件K社は、継続企業を前提としている。継続企業における支配株式は、営業権を考慮しない時価純資産法だけでなく、DCF法も加味して総合的には適正な評価となっている。」
「K社の事業計画を入手できなかったのは、残高試算表などの提出を求めたが、協力を得られなかったため。協力が得られない以上、過去の貸借対照表や損益計算書から数値を求めるしか方法がなく、むしろ、客観的な過去数値であるから合理性がある」